元号と亀の話

野原こみち|2019年5月1日

有難いことに、元号が変わる記念すべき日に、この日記のお当番がまわってきました。
ということは、やはり元号についてのことを何かしら触れないといけないかな、と思いつつ、色々と思いを巡らせていたところ、日本史の勉強をしていたときに知った、元号と亀の話のことを思い出しました。
明治の時代に、一世一元の詔が定められ、現在は天皇一代に元号ひとつというルールになりましたが、それ以前は、同じ天皇が即位しているあいだに何度も元号が変わることが当たり前でした。元号が変わる理由も様々で、地震や大火をきっかけにすることもあれば、良いことをきっかけに変わることもあったそうです。
弘法大師の産まれたのは、奈良時代の宝亀5年と言われていますが、この「宝亀」という元号は、その字の通り「珍しい白い亀が献上されたから」と理由で改元されたのだそう。他にも奈良時代には亀という文字のつく元号が何度かありますが、理由はどれも同じ理由。東洋では、いにしえから亀は神秘的な生き物とされていますし、健康と長寿で縁起の良いものの象徴として珍重されたんでしょうね。
これから起こる未来のことは誰にもわからないから、だからこそ、少しでも良いイメージに繋がるような「なまえ」をつけたいというのは、いつの時代もきっと同じことなのでしょう。元号というものは、「ある時代」に付けられたなまえのようなものですよね。
さて、新たななまえをつけられた時代に同席しているということに感謝しつつ、頭の中ではめずらしい亀がやってきたような吉兆なイメージをぼんやり描いて、自分なりに過ごしていけたらいいなと感じています。
何にも変わらないようだけど、新しい始まりはいつも、明るい兆しのほうに目を向けることのできる人でありたい、と思います。

writer ライター

野原こみち

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熱しやすく冷めやすく、興味の対象が移ろい易い性格ですが、小さな頃から本だけはずっと手放せません。古本屋は、多くのお店を巡るよりも、贔屓のお店に徹底的に通いつめる派。新刊を扱うお店も同じく。図書館は居心地重視。最近は南米の文学作品、幻想小説を偏愛気味です。
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熱しやすく冷めやすく、興味の対象が移ろい易い性格ですが、小さな頃から本だけはずっと手放せません。古本屋は、多くのお店を巡るよりも、贔屓のお店に徹底的に通いつめる派。新刊を扱うお店も同じく。図書館は居心地重視。最近は南米の文学作品、幻想小説を偏愛気味です。
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