そろそろ春めいて来るこの季節。春を感じる事が出来るのは意外と身近にあるものです。
日ごろは見過ごしている風景や「そこに息づくものたち」。
今回、上品倶楽部特別企画は「春は、すぐそばに」というタイトルの元、忙しかったり、平凡な毎日の生活に癒しと彩りを与えてくれる身近で見る事が出来る「鳥」と「草花」にフォーカスしてみました。
「春の野鳥」は少し目線を上にして春の鳥たちを探しましたが、ここでは、目線を目の高さと少し足元に移してみました。
自宅の庭やプランター、遊歩道やご近所のお庭など、身近なところにはもうすでに春の草花が顔を出しているはず。
日常の風景に静かに息づく草花が、季節の豊かさをそっと教えてくれます。
派手さはないけれど、その佇まいで春を教えてくる。そんな春の草花をご紹介していきます。
以前、神奈川県の大野山周辺を散策しました。
東京からそう遠くないのに、ここには里山の風景があります。
その中に春を知らせてくれる草花との出会いがありました。
「大野山」は丹沢山地の南西、丹沢湖の南に位置しています。
富士山の景勝地として知られており、晴れた日の山頂からの眺めは絶景です。また、山頂付近には牧場もある為、家族連れなどにも人気の高い場所になっているようです。
早速見つけた野の花と野草をご紹介します。
ユキノシタ(ユキノシタ科・多年草)
ユキノシタは名前の由来通り、寒さに強く、積もった雪の下でも生じ、日陰でも生じることが出来る植物です。路地裏の石垣や庭園に植えられる事も多く、天ぷらにして食用としても頂けます。
ほとけのざ(シソ科・一年草)
日当たりが良い畑などに自生しているこの花は、春の七草のホトケノザとは違い、食用にはなりませんので、ご注意ください。
オオイヌノフグリ(オオバコ科・越年草)
身近な場所で見かける春の野草ですが、実は日本の固有種ではなくヨーロッパ原産の外来種です。
犬ふぐり星のまたたく如くなり・・・
俳人として名高い高浜虚子(たかはまきょし)も一句詠んでいます。
菜の花(アブラナ科)
一般的に菜の花と言いますが、実はアブラナ属のうち、「アブラナ」「セイヨウアブラナ」
「セイヨウカラシナ」のことを主に指した名称なのです。菜の花という種類はないのだそうです。
蕾のうちに摘んで軽く湯通しして、菜の花のパスタなどで頂くとピリっとして美味しいです。
タチツボスミレ(スミレ科・多年草)
北海道から沖縄までに生育するポピュラーなスミレです。
なんでもスミレは世界に800種類以上あるそうですが、日本には60種類ほどが自生し、他に変種が数十種類あるのだとか。
蕗・ふき(キク科)
これは、「ふきのとう」です。「ふきのとう」とはフキの花芽のこと。
雪の多い地方では雪解けと共に一番に顔を出すことから「春の使者」と言われているそうです。
もう少しで花が咲きそうでしたが見つけたものはまだ愛らしいつぼみでした。
「食用」としての山菜「ふきのとう」について・・・
つぼみは天ぷら・汁の実・おひたし・ふき味噌など、色々と調理の方法がありますが、独特の程よい苦味がいち早い春を感じさせてくれますよね、でもそれだけではありません、
「ふきのとう」の苦味成分にはアルカロイド(肝機能強化・疲労回復・新陳代謝の促進)、ケンフェノール(発ガン物質を除去)などが含まれているそうです。
これは冬のあいだに蓄積された脂肪分を流してくれるという効果も得られるとか・・・。
良く晴れたこの日の大野山周辺では、里山らしい草花をあちこちで見る事が出来ました。
さて、ここからは場所を変えて近くの公園を散策した時に見かけた草花をご紹介します。
足元だけでなく、梅や椿など冬から春へとバトンタッチの時期ならではの景色にも出会えました。
乙女椿 おとめつばき(ツバキ科)
藪椿と雪椿の交配による園芸種。花は可憐だが、性質はいたって強く、挿し木で簡単につきます。
八重咲きの花で、春先の早い時期から咲き始めます。
乙女という名前、実は、お殿様の「お止め」から付いたものだそうで、門外不出の意味だとか。
また、海外へは「パーフェクション:完璧」という名で紹介されたそうです。
紅い藪椿と違って、ピンクの八重咲きの花びらが可憐な中に、エレガントな雰囲気を持っています。
このままコートの襟元にコサージュとして付けて見たくなりました。
福寿草(キンポウゲ科・多年草)
アムール川流域が原産です。
お正月の寄せ植えのイメージがありますが、地植のものは2月から開花します。
光や温度に非常に敏感なので、昼間でも日がさえぎられると1~2分で花がしぼみ、再び日がさすといつの間にか開花するそうです。
紅梅・未開紅:みかいこう(バラ科)
サクラ属落葉広葉樹。品種の数は約300種以上と言われています。
中国からの葉の時代薬用植物として日本にやってきました。
中国では年が明けて最初に咲く花という事から「百花元始」と呼ぶそうです。
この「みかいこう」という品種はこれ以上の桃色はないと、その色合いに人気があり、家庭でも多く栽培されているとか。開花の時に一.二弁咲き遅れるのでこの名前がつきました。
三椏・みつまた(ジンチョウゲ科)
3~4月頃に三つに分かれた枝の先に黄色の小さな毬(まり)のような花を咲かせます。
幹の皮をなめしたり、叩いて取り出した繊維分は、上質の和紙や紙幣の材料になります。
里山や、登山道でよく見かけますが、最近では庭木としても人気のようです。
ふわふわとした毬状の形が可愛らしくて、思わず触ってみたくなりました。
万作・まんさく(マンサク科)
「まず咲く」がこの名前の由来とされています。
また、「豊年満作」の語呂から縁起の良い落葉樹としても親しまれています。
枝を覆い隠すように繊細な花びらが開いた容姿は、着物や帯の柄のようにも見えて素敵です。
蝋梅や福寿草の黄色とは一味違う趣のある色合いは、どことなく艶っぽさを感じます。
水仙(ヒガンバナ科)
各地で野生化しているので日本の植物だと思っている方もいらっしゃるかも知れませんが、地中海沿岸域が原産で中国を経由して日本に持ち込まれたとされています。
最後にご紹介するのは
比較的身近で見かける機会が多い草花たちです。
ご自宅で観賞用に栽培されている方も多いと思います。
ユキヤナギ(バラ科・落葉低木)
葉がヤナギに似て、白い多数の花が、雪をかぶったように見えることからつけられました。
控えめな美しさを感じさせるユキヤナギですが、開花時期には公園などの植え込みを白一色ですが華やかにしてくれます。
ムスカリ(キジカクシ科(クサスギカズラ科) / ムスカリ属)
地中海沿岸や西アジアなどが原産で日本には明治時代に渡来したといわれています。
3月~5月ごろ、春を告げるかのように紫色のかわいらしい花を咲かせます。
グレープヒヤシンス という英名がついているように、よく見るとベル型の小さな花がたくさんつくその形状はまるでブドウの房のよう。
今回の特別企画はいかがでしたか?
凛と澄み切った空気と、暖かな陽ざしが混ざり合い心地よさを運んできてくれるこの季節。
のんびりと河原の土手や緑の林を歩いたり、丘を登ったり、路地に入ってみたり、これらの鳥や花たちを目にする事も多いと思います。
そんな時、今回ご紹介したエピソードを思い出しながら鑑賞いただくと、ちょっと見方が変わるかもしれません。
今度の休日や時間のある時、お花や鳥を見に出かけてみませんか?




















