(特別企画)春は、すぐそばに〜春の野鳥〜

都会でも見ることができる春の野鳥

そろそろ春めいて来るこの季節。春を感じる事が出来るのは意外と身近にあるものです。
日ごろは見過ごしている風景や「そこに息づくものたち」。
今回、上品倶楽部特別企画は「春は、すぐそばに」というタイトルの元、忙しかったり、平凡な毎日の生活に癒しと彩りを与えてくれる身近で見る事が出来る「鳥」と「草花」にフォーカスしてみました。

こちらでは、この季節に都会でもよく見る事が出来る「春の野鳥」をご紹介します。
ご紹介いただくのは、バードウォッチング歴15年の「naoさん」です。
鳥の習性や行動を知る事で、散歩や外出先での楽しみのひとつに加わるかもしれません。


 

探鳥を趣味としている私は、毎年1月も半ばになると「ぼちぼち撮りに行かねば」と思いを募る被写体があります。
それは、「ウメジロ」。

梅の花とメジロの組み合わせはバードウォッチャーにとって、一年の初めに体感する春の定番。
芳しい香を仄かに漂わせる梅の花の蜜を求め忙しなく飛び回るメジロは、食べ物の少ない厳冬期を乗り超え、待ち焦がれていた極上の甘味に大興奮している様にも見え、間もなく訪れる恋の季節への期待も感じられます。

冬季には椿、そして桜の花にもやって来るメジロは嘴が細長いだけでなく、舌先も筆の先のような吸蜜し易い構造をしており、受粉のお役目もしっかりとこなし、雀の様に花を千切ることもありません。

大きさは12センチと小柄な鳥ですが、意外に気の強いところもあって、全長30センチのヒヨドリと梅や桜の蜜を巡っての攻防は、なかなか見応えがあります。

羽衣はオリーブグリーン。
喉からお腹にかけてのレモンイエローが鮮やかで撮影していると、その美しさに思わず見惚れることも多々あり、特に私は日陰で見られる色合いがお気に入り。

桜が散り春~夏にかけては里山へ移動するものもいる中、都心部で営巣している番が見られることもあり、あどけない幼鳥を観察できる可能性もありますが、緑が濃くなるシーズン故、姿を観察し難くなる時期です。

*ヒヨドリ

 

次に頻繁にメジロを目にするようになるのは秋。
熟した柿の実を目当てにやって来るメジロは此処でもヒヨドリと甘味を巡る諍いを繰り広げます。
やがて冬になり、食べ物が乏しくなると、メジロは枯れた葦原にも姿を見せるようになり、葦原の中に潜む小さな虫を探して採餌していることもありますが、其処では猛禽類も目を光らせており、けして安心は出来ません。

そして季節は廻り、昨年生まれたメジロは初めて梅の蜜の味を知ることになります。
至福の甘味は、一年を無事生き抜いた証。
待望の春と生命力を身近に感じることができる「ウメジロ」を、今年もまた多くの人が愛でました。
来年もきっと、この時が訪れることを心待ちにしながら。

【メジロ】
全長約12 cm。緑がかった背と暗褐色の羽を持ち、雌雄同色。
目の周囲の白色部(アイリング)が、和名の由来になっている。
食性は雑食で花の蜜や果実を好み、育雛期には虫なども捕食する。
非繁殖期は、都市公園や街路樹、住宅地でも頻繁に見られる。

 
 

さて、次にご紹介するのは「キビタキ」です。

四季を通して日本で見られる野鳥は、雀やシジュウカラ、ハクセキレイ、キジバト等背景に馴染みやすいシックな色合いのものが多いです。
特に冬季の葦原では、天敵から身を隠す為に枯野に馴染む茶色系の小鳥が頻繁に見られ、「全部雀?」と思われる方も少なくないかもしれません。

*雄のキビタキ

 

そんな日本にも、春になると鮮やかな夏鳥が東南アジア等から繁殖にやってきます。
その代表格がキビタキ。
全長は13~14センチで雀より若干小さい小鳥で、成鳥雄の鮮やかな黄色と黒のコントラストが目を惹くだけでなく、その囀りの美しさは群を抜いており、この声と姿を見る為に私は毎年春~初夏に奥日光へ通っていると言っても過言ではありません。

*雄のキビタキ

 

雄は繁殖地に辿り着くと早々に縄張りの確保に勤しみ、別の雄が近付いてくると、ブンブンやバチバチという警戒音を出しながら激しい争いを繰り広げることもあり、その様子は優雅に囀る姿とは対照的で黄色と黒という色合いから蜂を彷彿とさせることも・・・。
華やかな羽衣を纏った雄とは対照的に、雌はオリーブグリーンの羽に褐色掛かった白いお腹という姿。
葉が茂る環境下で営巣に適した目立たない色合いをしています。

*雌のキビタキ

 

渡りの途中には都市公園に立ち寄ることもあり、明治神宮や小石川植物園といった都心のオアシスでも、4月中旬~5月上旬頃迄飛来し、バードウォッチャーにも人気の高い小鳥です。
練習の為なのか、もしかして其処に雌が潜んでいるのか、立ち寄り先でも美しい囀りを聞かせてくれるキビタキは新緑に爽やかな彩を添えてくれる有難い存在。

*幼鳥のキビタキ

 

繁殖を終え秋になると、今度は繁殖地から越冬地への旅が始まり、再び都市公園に立ち寄る個体を観察することが出来ますが、春と異なり秋は圧倒的に雌の姿が目立つのは、今年生まれた若鳥が雌と同じような羽衣をしているからという理由と、この時期の雄は囀らないから。
そして、盛りを過ぎて色褪せた木の葉は、雄の華やかな黄色い羽をカモフラージュする存在にもなっているのかもしれません。

ウメジロの季節も過ぎ、ソメイヨシノが散る頃、ぼちぼちキビタキが都市公園にも姿を見せてくれる頃だなと毎年ワクワクします。
このところ新緑の季節はあっという間に終わってしまいますが、その僅かな間を彩る美しい小鳥キビタキが、いつまでも日本へ繁殖に飛来することを願って止みません。

【キビタキ】
夏鳥としてほぼ全国の山間部に飛来、冬期はフィリピンやボルネオ島などの東南アジアで越冬している。
昆虫類・節足動物を捕食。

 
 
 

NAO
■略歴
東京生まれ。バードウォッチャー歴は15年。
若い頃は登山に親しみ風景や山野草を撮影していたものの、野鳥を撮るようになってからは、鳥一筋に。お酒と美味しい料理、温泉も大好きです。
大好きな探鳥地:奥日光、新潟県粟島、近所の河川敷

食卓に輝く太陽のようなお皿 Sunshine Drape サンシャインドレープ 東京∞散歩
Life with Records chaabee イベント情報