早坂 誠|2020年10月8日


御殿場にお伺いするようになって数年。
現地との往復で行き来するだけの中、わずかな時間を見つけて、
作業後に温泉に行くことや、依頼の生物採取に行くことも自分の使える時間として
大切に過ごそうと思いながら車を走らせている。

そのような中、
私用で御殿場のお土産を購入することになり途中覗いてみた東山旧岸邸。
総理大臣を務めた岸信介の自邸とのこと。特に興味があるわけでもなく、
隣のとらや工房に寄る予定の中で折角の機会。
おそらく次は来ないであろうその機会は常に大切にしたい気持ちもあり、
中に入ってみることにした。

さらに館内を案内してくれるスタッフさんの説明を受けられるとのことで、
白髪のシニアスタッフの方の言葉と共に歩くことになる。
ガイドさんの物腰柔らかで、建物に興味なくても興味を持たせてくれる
その言葉に引き付けられるように意味を理解しながら聞き入った。
床、暖房器具、タイル目、和室、書斎の机、障子。

今思い当たる言葉を出してみたのだが、当事者、建築家・吉田五十八
の隅々にまで及ぶ、究極のこだわりを肌で感じながら、周回していく中で
居間にある岸信介専用の椅子からの眺め。
庭を一望できるその場所に愛犬が走る姿を眺め、
水の流れを聞きながら過ごした時間を一瞬でも共有できた気持ちに
何となくの幸福感を感じた。
ふとしたきっかけや出会いは、やはり目や耳を傾けることが大切なのだと思う。

writer ライター
早坂 誠
「水辺の動植物」の販売・管理・展示を行う
有限会社エイチツー 代表
ビオトープ計画・施工管理士
愛玩動物飼養管理士
観賞魚飼育管理士
著書「水草水槽のススメ」
関心事:音楽と生きもの。自家製梅干し。サンマの塩焼き。