静寂

早坂 誠|2020年1月16日


一瞬でも「この場所はどこ?」と思ってもらうとしたら、
このアングルからの絵は正しいと思おう。
四角い水槽の中で息づく水と緑。水面に漂う霧がさらに演出効果を引き立て、
時折聞こえる不定期な水滴の音が空間に心地よい効果をあたえてくれる。
来店される方で、この空間を気に入る方は、実際に水槽をもっている方が多い。
この環境を作り上げる手法と苦労、長期間維持できる少しの驚きを同時に味わうことができるからかもしれない。
ここに存在するコケ・・・
苔という言葉にはいくつかの意味が含まれている。
京都や鎌倉を想像するコケ。
これが本来のコケ(苔)だと思うことが正しい。
アクアリウムでよく出会う、
見た目にも決して美しいとは言えないコケは苔ではなくモ(藻)
と覚えた方が良い。苔は蘚苔類。藻(モ)は藻類の仲間である。
この違いを理解していないと。皆ひとくくりにコケとなる。
今回水を多く利用して作り上げた苔水槽。
想像するより、強い光と、新鮮な水を必要とする苔を使用しており
日に日に厚みを増していく姿は、感動すら味わえる。
いとも簡単に育つそぶりを見せる庭で繁茂している苔を見ると、
自然が作り上げる育成環境には遠く及ばない自分や機械の技量に対して、
開けたドアの向こうにはまだいくつもの扉があることを感じさせられる。
これだからこの仕事は面白い。

writer ライター
早坂 誠
「水辺の動植物」の販売・管理・展示を行う
有限会社エイチツー 代表
ビオトープ計画・施工管理士
愛玩動物飼養管理士
観賞魚飼育管理士
著書「水草水槽のススメ」
関心事:音楽と生きもの。自家製梅干し。サンマの塩焼き。