着生植物

早坂 誠|2019年2月22日

岩波生物学辞典によると
着生植物の意味は
「樹木や岩石など土壌以外のもの、他植物表面に根、気根の多くを露出させて
固着生活、すなわち着生する植物、宿主に対する栄養上の寄生関係はない。雨水・
霧・
水蒸気およびそれらに溶けている栄養塩類を根や葉面から吸収する。~」
とのことである。
水草レイアウトにおいて、このような「着生する水草」は非常に重要な役割を担って
いる。
特にレイアウトを作るうえでの骨格となる「流木」に対しては、蘚苔類やシダの仲
間、サトイモの仲間の一部
を人間の手助けによって「着生」させて管理することで数か月後には、しっかりと固
着することができる。
その後水草レイアウトがより自然感あふれる魅力的なものに変化していくことに、多
くのひとが心惹かれて行く。

巻き方にも色々な手法がある。例えば蘚苔類。いわゆる水中で育つ苔の仲間では、木
綿糸や釣り糸を使用する。
土台となる流木に適量のコケを載せて、その上を糸でぐるぐる巻きにするのである。
これが意外と楽しい。
順調に育つとしっかりと流木に固着するので、釣り糸などのテグスははさみでカット
して取り除く。
木綿糸は時間の経過で、水中無いで切れて外れていくので、そのタイミングで固着す
るような巻き方を行えば
良いわけである。
自然の中にある。「苔の固着した立派な立木」や「朽ちて苔むした倒木」が目の前の
アクアリウムでも再現できる
この手法は、今では一般的となっている。
その他、着生するシダの仲間のBolbitis heudelotii やAnubias barteri var.nana
などはビニタイや結束バンドなどでしっかりと固定することで固着する。

ここからの成長を楽しみながら人間の手を入れていくことで、その姿を変えていく面
白さがあるのと同時に
魚の生活場所にもなる。なんとも奥が深すぎる遊びではないだろうか。
人の手を加えながら自然から分けてもらえる。遊びである。

このような水草水槽における着生させる手法。ほかにも「活着させる」という言葉を
耳にするのであるが、
生物辞典には「活着」という言葉が出てこない。仕方なくPCでの検索を行うと「活
着」とは
「さし木・移植などした植物が、根づいて生長し続けること。」と記載されている。
どうも言葉に違和感があるから、この場合やはり「着生」がしっくりくる。
以前からわずかな啓蒙活動をしているが、わたしの自信のなさからか、今一つ効果が
出ない。

こうして人の手によって、息を吹き込まれた流木と着生水草。これから知人の水槽の
中でどのような形に
変化していくかを見守りたいと思った矢先「植物が大きすぎて圧迫感がある」という
何とも冷たい連絡が来たことは放っておこうと思う。

writer ライター
早坂 誠
「水辺の動植物」の販売・管理・展示を行う
有限会社エイチツー 代表
ビオトープ計画・施工管理士
愛玩動物飼養管理士
観賞魚飼育管理士
著書「水草水槽のススメ」
関心事:音楽と生きもの。自家製梅干し。サンマの塩焼き。