子供の頃に読んだ絵本で、忘れられない一冊がありました。
女の子が、浜辺に落ちた貝殻の中に入り、冒険するというちょっと不思議な本で、大人になってからもなんども思い出したのですが、長い間、タイトルを思い出せずにいたのでどうしても探せずにいました。
しかし、つい最近なぜか、ふと、タイトルを思い出せました。
それは「かいのなかのアリス」という本で、インターネットで検索してみると、すでに絶版になっていたものの、古本で出品されているものを見つけ、何年かぶりに読むことができました。
絵柄など、うろ覚えだったものの、ページをひらけば懐かしい気持ちが湧き上がりました。
女の子は浜辺の貝に入り込み、その果てしなくつづく、階段のような貝の内面を登っていきます。
貝の中で、一羽のかもめが、必死に貝の壁に穴をあけようとしているところに、女の子は出会います。
女の子は、かもめが貝の中に迷い込んでしまったのだと思い込み、かわいそうに、と声をかけるのですが、そのかもめはこう言うのです。
「わたしは、かわいそうなかもめじゃありませんよ。いっしょうけんめいにしごとをしている、せいいっぱいのかもめです」
いっしょうのしごと、いっしょうのしごとと言いながら、かもめは必死で貝の壁に穴をあけようとしているのです。
これは、大人が読んでも首をかしげてしまうようなちょっと不思議なストーリーで、今読んでも、いったいどういう意味なのだろうか、と思ってしまうほどなのですが、なぜか、心のどこかに引っかかり、何年も思い返してしまうような力を持っている絵本だと感じています。
皆さんも、子供の頃読んだ、忘れられない絵本はないですか?
もしあったとしたら、読み返してみるのもいいかもしれません。
子供の頃には気づかなかった発見や、なにか大切なものを思い出すきっかけとなるかもしれませんよ。
writer ライター
mon
山育ちののんびりやですが、現在は東京暮らし。
寒いのが苦手。夏は扇風機派。
いつも何かを作りたくて仕方がない性分です。
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