今年は巳年、私は年男。
干支は十二年でひと巡り。
つまり、私はこれまでに十二年という時間を四度超え、いま五巡目の始まりに立っている。
十二年。
数字にすれば簡単なこの時間の単位は、実のところ、とても不思議で奥深い。
それは人の成長や社会の変化における一つの「節目」であると同時に、
自然界のリズムにも密接につながっているように思う。
月は満ちて欠け、海は潮の干満を繰り返す。
地球は太陽の周りを一周するのに一年かかり、その一年は春夏秋冬という四季の移ろいを伴っている。
そしてこの四季を十二に分けた暦こそが、私たちが日常に使う「月」であり、
十二という数字には、古代の人々が自然の呼吸を見つめた名残がある。
干支もまた、そうした自然のリズムに根差した知恵の一つ。
十二支は、それぞれの動物に象徴されながら、時間、方角、性質、そして運気の流れを表す。
それはまるで、自然界の「呼吸」に寄り添いながら生きるためのコンパスのようなもの。
私の人生も、当然ながら平坦ではなかった。
成功と失敗、歓びと後悔、出会いと別れ。そのすべてが、今の私を形作っている。
そして、何より大切だと感じるのは、
「浮き沈みがあっていいのだ」と受け入れられるようになったことだ。
若い頃は、「沈むこと」は失敗のように思えた。
けれど今は、それが人間の自然な姿であり、
成長するためのプロセスなのだと理解できるようになってきた。
むしろ「沈むこと」があるからこそ、「浮かぶ喜び」もある。
感情の波に身を任せながら、それでも前に進んでいける。
それが、干支が四巡した自分の強さなのかもしれない。
これから先、何度干支を迎えられるだろうか。この先の十二年がどんな季節になるかはわからない。
だが、自然のリズムに耳を澄ませながら、自分の歩幅で歩いていくことを、私は選びたい。
十二年は、ひとつの「季節」。
四季が巡るように、人生もまた巡る。
その流れの中で、私はいま、確かに生きている。自然とともに、時間とともに、自分とともに。
そして十二年後、どんな気持ちで迎えているか、楽しみだ。
writer ライター

岡野伸行
西中国山地の麓で育ち、魚釣りが日常にある幼少期を過ごす。
大学では水産学を学び、魚が日常にある生活を送る。
大学卒業後は釣り番組の制作会社で、釣り人が日常にいる日々を過ごす。
2023年に独立し、H.I.T. FILMSの屋号で活動開始。
商業的ではなく作家性のある釣りの映像作品を制作。
釣りを人生で一周し、現在は冒険的なフライフィッシングを好み、
釣り旅のことばかりを考える毎日を送る。
H.I.T. FILMS
https:/hitifilms.jp