故郷は遠きにありて

岡野伸行|2024年10月26日

過日、広島で中学生時代の同窓会があった。
仕事と兼ねての広島にトンボ帰りの帰省。
スケジュール的にはタイトだったが有意義な時間だった。

私の中学校は広島市の中山間地域にあり、
広島都心のベッドダウンとして1970年代に多くの団地が造成され、
そこから集まる生徒たちが歴史の中で最も多かった世代だった。
各地で廃校などの声が聞かれるが、団地の2世、3世もいることから
廃校には至らず学校が残っているだけでも嬉しいものだ。

卒業後30年の時が流れてから再会したかつての中学生。
故郷を離れ広島そのものが物理的に遠くにある私にとって、とてもいい時間だった。

“故郷は遠きにありて 思ふもの”という言葉がある。
“遠き”の解釈は一般的には物理的な距離とするものだろうが、
時間的な”遠き”という解釈もできるだろう。記憶の遥か向こうにある思い出。それまた故郷だ。

中学の同窓会だから当たり前ではあるが、初めて共に酒を呑んだ仲間も多かった。
人格が形成され、社会性を学び始めた頃の人間関係は、経年劣化しない特別なものであると感じた。
これが高校にもなると、好き嫌いや偏見めいたものが人間関係をギクシャクさせはじめる。
“中二病”とは言い得て妙だ。中学生とは無敵の存在なのかもしれない。

同窓会の数時間、30年前にタイムスリップし、時間的な”遠き”は埋められた。
しかし帰りの新幹線では、物理的な距離がセンチメンタルな気持ちにさせた。

また会える日まで、みんな元気で。

writer ライター

岡野伸行

岡野伸行

1977年広島県生まれ。さかな検定2級
西中国山地の麓で育ち、魚釣りが日常にある幼少期を過ごす。
大学では水産学を学び、魚が日常にある生活を送る。
大学卒業後は釣り番組の制作会社で、釣り人が日常にいる日々を過ごす。
2023年に独立し、H.I.T. FILMSの屋号で活動開始。
商業的ではなく作家性のある釣りの映像作品を制作。
釣りを人生で一周し、現在は冒険的なフライフィッシングを好み、
釣り旅のことばかりを考える毎日を送る。
H.I.T. FILMS
https:/hitifilms.jp
writer ライター
岡野伸行
1977年広島県生まれ。さかな検定2級
西中国山地の麓で育ち、魚釣りが日常にある幼少期を過ごす。
大学では水産学を学び、魚が日常にある生活を送る。
大学卒業後は釣り番組の制作会社で、釣り人が日常にいる日々を過ごす。
2023年に独立し、H.I.T. FILMSの屋号で活動開始。
商業的ではなく作家性のある釣りの映像作品を制作。
釣りを人生で一周し、現在は冒険的なフライフィッシングを好み、
釣り旅のことばかりを考える毎日を送る。
H.I.T. FILMS
https:/hitifilms.jp
食卓に輝く太陽のようなお皿 Sunshine Drape サンシャインドレープ 東京∞散歩
Life with Records chaabee イベント情報