大人の気まま旅 Vol.4

等々力渓谷

念入りに計画をした「旅行」とまではいかないけれど、その時の気分や季節で場所を選び、自分の感性のまま出かけ、歩く。
そこでの出会いを楽しみ、心を縛るものからの開放感を味わう。
そんな小さな旅のあれこれをご紹介します。

東京都世田谷区

最寄駅:東急大井町線 等々力駅下車

こんな時期だからこそ行ってみたい場所があります。
今回小さな旅に選んだ場所は身近な都会のオアシス。
ここが東京だと言うことを忘れそうな、そして、都会の喧騒を逃れて別世界に迷い込んできたかのような気分にさせてくる、静寂と緑と水に包まれる空間。それがここ、「等々力渓谷」。

東京23区唯一の渓谷として、東京都指定名勝となっています。
最寄り駅の東急大井町線「等々力駅」を降りて、徒歩数分でゴルフ橋手前のらせん階段が見てきます。この階段を下りると、深い緑の樹木で覆われた等々力渓谷が目前に広がります。
ここを流れる「谷沢川」の、せせらぎの心地良い音や、時折、姿をみせる野鳥のさえずりなどを聞きながら、マイナスイオンたっぷりの約一㌔のお散歩が楽しめます。

足元は、木道などで遊歩道として整備が行き届いているので、
小さな子供からご年配の方まで、安心してお散歩を楽しむことが出来ます。
ちょうど、取材に出かけた日は平日の早朝という事もあり、人出はまばらですが、犬の散歩や、ランニング、ウォーキングなどを楽しむ方たちとすれ違う事もしばしば。
渓谷の上が、都内でも有数の交通量の多い事で知られる環状線が走っていることなど、忘れてしまうほど、静かで穏やかで、なんと言っても涼しいというのはこれからの季節には嬉しい環境です。

竹林や渓に悠然と立つケヤキやムクノキの大木の枝葉が、眩しい太陽の光を程よく遮ってくれて、かすかに木漏れ日となって、川面にそのシルエットを映し出している景色はいかにも涼しげです。場所によってはコケなども群生しているので足元にも
気にして歩くと別の発見があり楽しめます。

ちょうど、この日はアジサイが咲き始めている場所があり、ベンチで水分補給しながらアジサイを愛でる事が出来ました。
このあたりはオナガ・シジュウカラ・ヒヨドリ・モズなどの野鳥も多く見ることが出来るそうです。

では、ここで等々力渓谷についてちょっと詳しくご説明。
武蔵野台地の南端に位置する延長約1kmの渓谷です。
谷沢川が多摩川と合流する手前で、多摩川が形成した河岸段丘、いわゆる国分寺崖線の侵食によって出来た、東京都区内でもめずらしい渓谷として多くの人に知られています。

「等々力」という地名は、渓谷内の「不動の滝」の音が響き渡り、「轟いた」ところからついた、との言い伝えがあります。

滝の上部には、平安時代に役の行者の霊場とされた等々力不動尊があり、かつてはこの滝にうたれて行をする修行僧が各地から訪れたとも言われているそうです。この日は無病息災や厄除け、家内安全を祈願する行事の「茅の輪くぐり」の準備中でした。
また、等々力渓谷内には、古墳時代末期から奈良時代と推定される、谷沢川の東の斜面の崖に群生している「横穴古墳」のひとつ、「等々力渓谷第3号横穴古墳」も残されています。

古墳と言えば、等々力渓谷の途中から案内板に沿って少し歩いたところの玉川野毛町公園内には「野毛大塚古墳」があります。

こちらは円丘に小さな方形の張り出しをつけたホタテ貝に似た形の帆立貝形古墳で、墳長は82m、直径66m、高さ11mの円墳に小さな前方部がついているもので、帆立貝形古墳としては最大規模だそうです。

今回の大人の気まま旅は、自然環境を生かした斜面林の深い緑と、湧き水も流れ込む谷沢川のせせらぎに、心も身体も涼しさと共に、癒しを与えてもらった「等々力渓谷」をご紹介しました。

去年からのコロナ禍で、色んなストレスを抱える毎日が続いている事と思います。
皆さんのお住まいの近い場所にも、きっと、様々な歴史や文化、そして自然に触れる事の出来る場所があるかもしれません。ちょっと歩いて探しながら、小さな旅を体験してはどうでしょう?

*上品倶楽部から等々力渓谷へお出かけの方へのアドバイス:
涼しい渓谷ですが、夏場は歩くとすぐに汗をかいてしまいます。また、この時期は蚊が沢山飛んでいます。
虫除けスプレーや、タオル、飲み物を用意して、より快適なお散歩をぜひ楽しんでくださいね。


東京都 世田谷区

アクセス:
東急大井町線 等々力駅下車 徒歩3分