もてなし人たち Vol.1

アロマテラピスト mooa あこさん

「もてなす」とは、日本で古くから使われてきた言葉。

食事をご馳走するという言葉でもありますが、お客様を大切に待遇するという意味もあります。
このコンテンツでは、上品倶楽部のライターさんやこれまでに取材させていただいた方々など、様々な形で繋がりがある人たちをご紹介していきます。

それぞれの分野で活躍をされている方々の仕事や暮らし、これまでの活動など、ご紹介していきます。
それぞれのみなさまが、自分の仕事に尽くし、日々お客様を様々な形で「もてなし」ている立場にあります。
上品倶楽部では、そんな皆さまに敬意を払いつつ、「もてなし人(びと)」とお呼びすることにしました。
様々な業種の様々な個性を持つ方々のお話、ぜひお楽しみください。

第一回 アロマセラピスト mooa あこさん

編集部

あこさんは日頃から上品日記でライターとしてご協力していただいていますが、5/19投稿の日記で、このコロナ禍でできることとしての内容を書いていただきました。その内容に編集部がとても感銘をうけたので、急遽このような特集コンテンツを組ませていただきました。普段、アロマセラピストとして、お客様をリラックスさせるということに尽力しているあこさんだからこそ、このような現状で、家にいて窮屈な思いをしている人や忙しく働く立場にいる方の心と身体のことに思いを馳せることができるのだろうなと感じました。あこさん自身も現在東京にお住まいで、サロンも都市部にありますが、どのような状況でしょうか?

 

あこ

4月からずっと休業しています。
早く再開したいなぁと思いながら、香りを作ったり、事務作業をしたり、施術の勉強をしたり。
ちょうど昨日、Zoomで整体のオンライン授業があり、練習させていただくモデルさんが来店したので、ずっと「作業場」になっていたスペースが約2か月ぶりに「トリートメントをする場」にチェンジしました。
換気ができるよう窓は開けていたものの、薄暗い空間で静かに身体に触れていると、すっとリラックス状態に入れるものなんですねぇ。
この2か月がまるで夢だったような気分になりました。
東京都も、休業要請解除の兆しが見えてきましたよね。

嬉しい反面、解除になったからといって、コロナウィルスが一気に消失するわけではありませんから、受け入れ態勢を考えつつ、再開の準備をしたいと思います。

 

 

編集部

外出が出来るようになり、ガイドラインに沿って施術も可能になったら今までと違うイメージをお持ちですか?

 

あこ

お客様に対する気持ちや姿勢、mooaに対する想いは特に変わらないと思います。
変わった点といえば、今回香りの必要性をより強く感じたことでしょうか。
今回ネットで販売をしてみて予想以上に皆さん「香りが届いたこと」を喜んでくださったんです。

震災の時もそうでしたが、命に関わる出来事があると、まずは食事や住居、ライフラインの確保が第一で、香りのような嗜好品や、美容・娯楽は二の次になります。

でも、ずっとそれが続いていると「感性」の部分がカラカラに乾いてきて、心が飢餓状態になってしまう。
そういう時に、香りは、心を潤す水のような役目をするのでしょうね。
また、今回はマスクのリフレッシュに使いたい、という方も多くいらっしゃいました。

私は、普段は毎日香りと接しているせいか、一人の時に使うことってあまりないんです。
でも今回は香りをとても欲している自分がいて、これは必要なものなんだと確信できたのは大きかったです。
購入してくださる方がいたおかげで、求められるものを扱っているんだ、という自信にもつながりました。
これからも精油を安全に楽しくお使いいただけるように工夫していきたいと思います。

 

 

編集部

アロマセラピストとして皆様へご提案出来ることはありませんか?
先日の免疫力アップについてのアドバイスと、リラックスできる簡単なマッサージなどがあれば教えていただけますか。
これは、mooaさんのサイトのこのページ「人から触れられること・大切に扱われることは、心に安心感と深い満足感をもたらします。」というところがとても気になって。

 

あこ

今は精油の効果を研究しておられる大学時代の先生も、香水の学校の先生も、「香りを扱う人は風邪をひきにくい」とおっしゃいます。
私は昨冬おもいっきり風邪ひきましたが…でも、長年平常運転できているのは精油のおかげかもしれません。
精油は、特に木の葉っぱから採れるものや、ハーブ類からとれるものは、植物自身が害虫などから身を守るために自ら生成したと考えられます。

例えばラベンダーは、高地で生育されたものは香りがやわらかいんですが、低地にいくほどシャープで男性的になるんです。
低地は高地に比べて気温が高く虫が多いですから、植物もきつい香りを出すのではないでしょうか。
一方、ローズやジャスミンなど、花から採れる精油はとても魅惑的な、いい香りがします。
これは、先ほどの例とは逆に、受粉するために虫を引き寄せていると考えられます。
オレンジやグレープフルーツなど、果皮から採れる精油もおいしそうな香りがしますよね。
これはきっと、鳥や動物たちを引き寄せて食べてもらい、種を分散させるためでしょう。

今回の「免疫力UPセット」は、これらの性質をフルに生かしています。
おいしそうな香りは人を元気にしますから、オレンジを朝に。
日中はユーカリのシャープな香りで身を守り、
夜はラベンダーのやわらかな香りで心地よくなっていただく。
交感神経と副交感神経がバランスよく働くことが免疫力の維持には大切ですから、ぜひ使い分けていただきたいと思います。

 

 

次に、リラックスできる簡単なマッサージについて。
お家に誰かいる方は、頭を優しくナデナデしてあげるのが一番簡単で効果的だと思います。

頭ぽんぽんでもハグでも、お互いが嫌でなければ、なんでもいいと思います。
実は私、人の身体に触れたり触れられたりするのは好きですが、急なハグが苦手なんです。

海外に行ってしまえばみんな自然とハグするので平気なんですが、日本人同士で「さぁ、ハグしましょう!」みたいなのは違和感で固まってしまいます。
マッサージも同じです。
苦手な人ってけっこういますからね。まずは、相手が嫌じゃないかどうかの確認を。
先ほど、頭ナデナデをおすすめしたのは、頭だったら皆さんわりとなでられ慣れているんじゃないかと思ったからです。
優しい気持ちでナデナデすると、頭にはツボがたくさんありますから、されている方はふわぁっと気持ちがよくなってくるんです。

「頭をなでても失礼にあたらない」文化圏と関係性であれば、おすすめです。
頭が難しければ、背中をさするのも大変効果的です。

 

 

編集部

最近、家族といっしょにいすぎて、仲が悪くなるという話をよく耳にするので、家族やパートナーに手軽にできるマッサージとかがあれば、教えてもらえるとうれしいです。アロマのハンドマッサージとか?

 

あこ

はい、よく聞きますねぇ。
ラジオを聞いていると、最近はそういう相談やグチがとても多いですね。
近すぎると煮詰まるんですよねぇ。

バツイチの私に言われてもあんまり説得力ないと思うんですが、まぁ、一緒にいすぎて仲が悪くなるわけだから、普通に考えたら接近するマッサージよりもまずは少し距離をとったり、ちょっと外でも歩いて気分を変えたりした方がいいんじゃないですかね。
そもそも、イライラの元の相手にあんまり触れられたくないでしょう?

元々スキンシップが多い関係性や、相手が小さな子どもとかでしたらタイミングをみて少しずつ触れていくのはいいでしょうが、そうでないならあんまりおすすめしませんねぇ。
マッサージって、お互いの気持ちが合わさった状態で行うのがとても大切なんです。

 

 

編集部

最後になりますが、あこさんにとっての仕事とは?

 

あこ

今の私にとっては、仕事が自分のほぼ全てなんですよね。
円グラフで自分の人生を表したら、98%くらい仕事になっちゃうんじゃないですか。
…あとの2%なんなんでしょう、逆に。

趣味や人付き合いや自分の生活と、仕事との境目があまりないのかもしれない。
身内や友人に会うことや、映画や音楽を聴きに行くのにも「時間に間に合うように行かなきゃ」って、まずそれがすごいプレッシャーなんですよねぇ。
mooaでの仕事より、そっちの方が全然「仕事感」がありますよ。

正直、マッサージしてる時が一番「楽」なんです。
お客様の細かな動きとか反応は常に感じているので集中はしてるんでしょうけど、同時に時間の感覚を失うくらいボーっとして、とにかく一番リラックスしています。

なので、なんだか変かもしれませんが、私にとって仕事とは「寝てるとき以外の全て」なのかもしれません。
円グラフは三分の一が睡眠でしたね。

 

 


アロマセラピスト mooa あこ プロフィール

長野県飯田市出身。
山に囲まれた場所から海がすぐそばの三重大学へ。
木の皮の消臭効果を研究中にアロマセラピーと出会う。
1998年渡英し、AROMATHERAPY ASSOCIATES(現Vivat Holistic Training)にて学ぶ。
帰国後、化粧品やインテリア雑貨の企画製造会社、美容サロンなど数店舗に勤務。

2004年mooaオープン。
香りの学院GRASSE(現FRAGRANCE DESIGN SCHOOL GRASSE)にて調香・香水について学ぶ。

趣味は吉祥寺散歩(西荻窪や三鷹も)、モノ作り。
好きなことは、美味しいものを食べること。気持ちの良い場所で昼寝すること。