星の巡礼/パウロ・コエーリョ

こみちの本棚 29冊目

他所の国の文化を知ろうとするときに、もっとその国に住む人が大切にしているものがわかれば理解が早く進むのかもと思うことがあります。
たとえば、キリスト教やイスラム教はじめ、多くの宗教については、その国に住む人の価値観や生活習慣、食文化などに大きく影響を与えているので、そこを理解することでそれまえ理解できなかったことが一気にわかることがあるかと思います。
映画などをみていて、いまいちピンとこない部分があったときは、その舞台となった国の宗教的な側面を調べてみると納得することが、今まで多くありました。
この日本という国をみると、歴史の中で仏教・神道・儒教などが複雑に混じり合った特殊な文化で、海外の人に聞かれたらなんと答えたらいいか困ってしまうと思いますが、特定の宗教を持っていないと自認している人でも、お正月には神社に初詣に訪れたり、旅行に出かけたら有名なお寺に訪れたりすると思います。

ところで、巡礼というものは、ただの旅と一体どこが違うのだろう。
私自身、巡礼という言葉自体は知っていても、それがどういうものなのかということは長年ピンときていませんでした。

世界的ベストセラー小説の『アルケミスト-夢を旅した少年』の著者パウロ・コエーリョの、自身が体験したスペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラまで至る巡礼の旅をモデルに執筆したと言われる自伝的な作品です。
エルサレム、バチカンと並ぶ、キリスト教における聖地であるサンティアゴ・デ・コンポステーラは、この街に至る巡礼路は世界遺産にも登録されています。
ストーリーでは、キリスト教系のある教団の秘儀を授かるために巡礼の旅にでた主人公が、その道の途中で数々の実践を行い、神秘的な体験を経験します。
各章の終わりに、ストーリーの中に登場した巡礼の過程で教えられるレッスンが書かれています。
宗教的な要素や神秘的な表現が多く、少し難しいと感じるかもしれませんが、キリスト教のことをよく知らなくても、具体的な物語の断片に、普遍的な人間の霊性に訴えかけてくる何かを感じることができると思います。

星の巡礼
パウロ・コエーリョ
山川紘矢+山川亜希子 訳
角川文庫

(文:野原こみち)

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