(特別企画)涼を感じる風景

水辺の景色

緑の山々や田畑、あるいは街を縫うように流れる川。
豊かな緑を映し出す湖沼など、日本には美しい水のある風景があります。
また、繊細な葉形の笹やススキ、渓谷に佇む苔などの緑の景色。
身近なところでは、睡蓮鉢やあさがおやふうせんかずらなどの生垣など、
日本ならではの「涼を感じる風景」が厳しい暑さが続く日々に安らぎを与えてくれます。

上品倶楽部特別企画として、暦の上では初秋ですが残暑お見舞いがてら「涼を感じる風景」
をお届けします。

秋田県 阿仁川(あにかわ)水系支流

深い森に囲まれ、穏やかな田畑がひろがる町、「またぎの里」で有名な阿仁町を流れる川。 

秋田県阿仁町は、「またぎの里」としてその名が知られている町です。
またぎとは、農閑期の冬などに山に入り、熊やウサギなどをしとめて食料とする習俗や狩人のことであることはご存知の方も多いと思います。
それだけにここ、阿仁町の山や森は深く、人の手が入っていない箇所が多く残っていて
森や林を縫うように流れている川も、余計なダムや堰堤に邪魔されることなく、おおらかに流れているのです。

さて、「またぎ」が山で使う独特の言葉があると聞きました。
例えば、犬の事は「セタ」、水は「ワツカ」。また、熊の頭のことは「バツケ」と言うのだそうです。これはアイヌ語に由来している言葉なのだとか。
しかし、これらの言葉は山の中だけでしか使わないというのもびっくりです。
なぜ、山の中に入った時だけ使うのか?というのは、
実は、山に猟に入ったときは、山の神をおそれて、山の神様に聞かれて気づかれないようにと、普段使わない言葉で話したというのです。山の神というのはアイヌでは熊の事を指しているそうなので、熊に気づかれないようにするための知恵だったのですね。

そんな、山深い阿仁町を流れる川の風景は、「またぎの里」らしく、悠々として
各所に自然のもつエネルギーを感じることが出来ます。


秋田内陸線「阿仁またぎ」駅です。


ふもとに近い場所では、せせらぎのような風景を見る事も出来ます。


マイナスイオンたっぷりの堰堤下。


これは、草いちごです。この川のところどころで見つけました。
 
 


 
 

岩手県 岳川

岩手県、遠野地方の北部に位置し、山岳信仰で有名な「早池峰山」の麓を流れる川。

北上山地の最高峰・早池峰山は標高1917m。岩手山に次ぐ岩手県第2の高さで多くの登山家が訪れる山と同時に、その誕生は4億年ほど前という太古の昔で、霊山として信仰の対象の山でもあったそうです。
 また、ハヤチネウスユキソウやナンブトラノオなど可憐な高山植物の宝庫としても知られ、国定公園に指定されています。
その早池峰山の麓を流れる「岳川・だけかわ」をご紹介します。

訪れたときに山頂付近で雨が降ったらしく、水かさが増し
あたりは靄がかかり、幻想的な景色になっていました。
ひんやりとした空気の中、雨を受けた木々からしたたり落ちる雫を受けた苔のついた岩。
その間を流れる川の水は冷たく、透き通っていました。

この川は、いたるところで岩の造形美を楽しむことが出来ます。
細かく、侵食された岩や、ダイナミックな一枚岩など、どれも水をたたえながら
美しくたたずみ、まるで自然のミュージアムのような景色。
さらに、植物たちも、その美しさを競い合っているかのように
伸びやかに、そしてしっとりとした趣で川の畔に育っていました。
このまま部屋に持ち帰りたくなるのは私だけでしょうか?

自然がつくり出す、美しい風景やその姿、形。
人の手では決して創ることの出来ないものばかりです。
だからこそ、いつの時代も心を引かれ、癒されるのかもしれません。


二股になった川の片方にあった滝の景色です。


細かく侵食された岩の滑り台?流れ落ちる川の水がジャグジーの泡みたいです。


どちらかのお庭?と思えるような風情のあるトクサと山野草のアート。


突然、目の前に鮮やかな紫の花が・・・しかしこれは猛毒で有名な「とりかぶと」でした。


この堰堤下には大きな天然のイワナが沢山いるようです。


 
 

秋田県 生保内川(オボナイカワ)

田沢湖に程近いこの川は、岩手県との境にあるモッコ岳(1278m)、朝日岳(1376m)に発し北流、とシトナイ沢を合わせ西流、掘木沢、六枚沢を合わせた船場地内の南側で玉川に交流する川です。
生保内川(オボナイカワ)とは見て分かる通り、アイヌ語で「深い川」の意味だそうです。
阿仁川同様に、秋田は北海道に近く、アイヌの文化と深くかかわる地方だということが言えますね。

静かに流れる景色の中に、倒木に苔が生え、そこにいくつかの草花の種をつけて育ったのでしょう、薄桃色の小さな花が、ひんやりとした川の中でひときわ輝いています。

めったに人に見られる事もないのでしょうが、美しい侘寂の世界、ちょっともったいない
気がしますが、ここにあるからこそ存在の価値があるのでしょうね。

ところどころに、このような堰堤があります。
堰堤から落ちる水の勢いによってしぶきがあがり、マイナスイオンを体感できます。
せせらぎや、淵を流れる川の穏やかな音から一転して、時に大爆音のような勢いの堰堤もありますが、涼しさは天下一品です!
 
 


 
 

秋田県 桧内川(ひのきないがわ)支流

7月~8月の東北は、アジサイが今が盛りとばかりに色鮮やかに咲いています。
少し、林道へ立ち入ると山の斜面に山アジサイがブナの新緑と混じりあい
美しい夏景色を演出しています。

川のほとりへ下りると、流木に付いた苔からフキやシダなどの植物が程よい
大きさに育ち、渓流のせせらぎと溶け合って、ひんやり涼しげな水辺の風景に出会う事が出来ました。


こちらの川でも、色とりどりのトラノオやヤマアジサイが至る所に咲いていました。また、写真にはありませんが、ホタルブクロやヤマウドの花も見る事が出来ました。
 
 


 
 
いかがでしたでしょうか?

自然の力というのは圧倒されるものがあると同時に、私たちの心を癒してくれる効能もあると思います。
画面を通して、涼しげで爽やかな緑と水の雰囲気が伝わっていましたら、嬉しいです。

そして、山深い場所に足を踏み入れるときは、くれぐれも相応の準備と、十分な注意・下調べをお忘れなく。

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