津軽びいどろのすすめ

涼しげで色彩豊かなガラス工芸

色彩豊かで涼しさを感じる津軽びいどろ。

今年も暑い夏がやってきそうです。
涼しい季節にはなんとなく忘れてしまう真夏の厳しい暑さも、桜の季節を過ぎて木々に新芽が目覚める頃になると、あの茹だるような暑さを少しずつ思い出してちょっとげんなりしてしまう・・・という方も少なくないのではないでしょうか。

季節ごとに新しい号をお届けしてきた上品倶楽部では、毎年夏の時期には少しでも「涼」を感じられるような特集記事をお送りしてきました。今年の夏は、日々の食卓を涼しげに、また色鮮やかにしてくれる伝統工芸品「津軽びいどろ」の紹介をいたします。
「津軽びいどろ」は、坩堝の中の真っ赤にとけた1500度の灼熱な世界から津軽の職人たちの巧みな技術と技法によって、手作りならではの美しく、柔らかな形に仕上がっていきます。色を様々に組み替えることで、日本の四季の風景を連想させるような、豊かな色彩のびいどろができあがります。
食卓を華やかで便利にする器やグラスなどはもちろん、伝統的な日本の夏の風景に欠かせない風鈴、また季節の花を活ける花器など、アイテムの種類が豊富なのも魅力です。

津軽の豊かな自然環境が、美しいガラス工芸を生み出します

 


 

美しい津軽びいどろの歴史。

「津軽びいどろ」を生産する北洋硝子の始まりは1949年、漁業用の浮玉(うきだま)製造からでした。
当時は他にも浮玉を製造する工場がありましたが、北洋硝子の吹き上げる浮玉は他に比べ丈夫である、という確かな品質の評価を得て、1973年には国内トップの生産高となります。
その後、浮玉がプラスチック製に切り替わったことから、長年の浮玉製造で培った「宙吹き」の技法を用いて大ぶりな花器などの生産を始めます。
その成形技術と色ガラスを掛け合わせた工芸品として、1977年に食器や花器などで構成された『津軽びいどろ』が誕生しました。
職人たちは技術開発にも力を注ぎ、美しい色ガラスの調合や、高い技術を要する技法もほぼ独学で習得するなど、常に新しい技へのたゆまない努力を続け、現在では青森県伝統工芸品の指定も受けています。

北洋硝子の最初の商品でもあった漁業用の浮玉

 
 

高い技術をもった職人たち。あたたかい雰囲気の工房で若い世代の担い手を育てる。

『津軽びいどろ』は型を使わずに器をつくる「宙吹き」からスタートしました。型や機械を使わずに、棹をまわしながらガラスを吹く技法で、修得には長年の経験が不可欠。吹く加減と回すスピード、その微妙な加減でさまざまなカタチを造ることができます。器の形状やデザインによっては、複数の職人が息を合わせてひとつの作品を完成させることもあります。あっというまにカタチになってゆくガラスは、まるで魔法を見ているかのようで、 積み重ねた時間がそこから伝わってきます。

「宙吹き」以外にも、手仕事の魅力をたくさんの方へ伝えていくために、量産に適した新しい技法の修得にも取り組んできました。

金型を回した遠心力でガラスを形づくる「スピン成形」は、熱したガラスを最適な量・タイミングで金型に落とし込むのも、回すスピードを調整して美しい模様を描き出すのも、すべて一つひとつ職人が行う手仕事です。津軽びいどろはカラー展開が豊富なため、ガラスの色(生地をつくる成分の配合)によって変わる膨張率や硬さにあわせて、どの色であっても“同じサイズ”に揃えていくには、長年の探求と技術の研鑽が必要となります。

「昔ながらの伝統技法を守るガラス工房」というと、どことなく厳しい・険しいようなイメージですが、「津軽びいどろ」をつくる北洋硝子は、それとはすこし違った雰囲気があります。それぞれがガラスづくりにひたむきで、広い工房ではガラスづくりの音しか聞こえません。でも、ひとたび炉を離れると、職人たちの間にあるのは親しみやすさばかりです。若い職人や女性の職人も多く、ガラスに込めたそれぞれの感性を自由に話し合える環境は、多彩なアイテム展開の土台にもなっています。創業時は“見て覚える”“黙して語らず”という気風もあったようですが、いまでは世代や性別をこえて、それぞれに学びあえる関係が育まれています。

伝統の技を今も受け継ぐ職人の技

津軽びいどろの代表的な技法について紹介します。

【宙吹き】

坩堝の中で溶けた約1200度(成形温度)のガラスを吹き棹の先端に巻取り、 もう一方の端から息(ブロー)を吹き込んで膨らませながら形を整える技法です。 成形炉で再加熱しながら色ガラスや色ガラスのフリットを重ねて仕上げていきます。 自由自在な成形が可能です。

 

【オーナメント】

坩堝から融けたガラスを巻き取り、棹の取り回しのほか、コテやハサミ、金属製のハシなどを用いて造形物をつくる技術です。型を使わないため、同じものはひとつとしてつくることができません。僅かな加減で表情が大きく変わり、職人一人ひとりの個性が現れます。

 

【ピンブロー】

ガラス玉にピンで穴を空け、水で濡らした新聞紙を差し入れて水蒸気で膨らませる技法です。ピンを入れる中心の取り方と、水蒸気で膨らませる速度の調節には職人それぞれのコツがあり、緻密で繊細な調整が求められます。なめらかな質感が特長で、小振りな製品も美しく仕上がります。

 

【スピン成形】

金型のなかに融けたガラスを落とし込み、金型自体を回すことで、遠心力をつかって成形する技術。金型の回し方・速度によって風合いが異なり、同じ金型を使っていても職人によって僅かずつ個性が生まれます。ガラスを入れるタイミングや回し方を工夫して模様を描くことも可能です。

 

 
 

津軽びいどろHANABI

夏の夜空を彩る花火の華やかさや、やがて消えゆく儚さをイメージ。お酒を楽しむグラスや、涼しげな器、箸置きや一輪挿しなどのラインナップが揃っています。
ハンドメイドガラスならではの風合いに、ガラスに映える朱や橙などさまざまな色粒を散らしました。多様な用途に使える鉢のガラス碗は、氷を敷いたお刺身を盛りつけたり、冷茶漬けやかき氷にもぴったりなサイズ。あたたかみのある暖色系の色合いは、テーブルのアクセントになるだけでなく、料理をおいしく見せてくれる効果があります。

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風鈴 彩(さい)

チリンチリンという音色とともに日本の夏の風情を楽しめる風鈴。職人が何度も試作を繰り返し、素材から追求した涼やかな音色をお楽しみください。

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あおもりの海 盃セット

“CHANGE FOR THE BLUE”青森の海をもっと綺麗に、という想いを込めた盃セット。三方を海に囲まれた青森県は、海の幸に恵まれ、四季折々の美しい海の景観も生活の一部になっている土地柄です。この豊かな海を次の世代にも残す大切な財産として、青森の海を守る活動を推進するプロジェクト「CHANGE FOR THE BLUE in青森県」に賛同し、コラボレーション商品として誕生したのが「あおもりの海 盃セット」。
お酒を注ぐと色ガラスの青色がふわっと浮き上がるように感じられ、海が好きな方への贈り物にも最適です。

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水盤

そのままでも絵になる花器として空間に華を添える大ぶりの水盤。季節の花を生ける花器として、お客様をお迎えするのにぴったりです。
『水盤』シリーズは、すべて熟練の職人が一つひとつ丁寧に作り上げるハンドメイドガラス。手作りのあたたかみと色ガラスの華やかな色合いが、おもてなしの気持ちをそっと伝えます。
ガラスそのものに模様があるので、蘭など大きめの花を1つ2つ浮かべるだけでもきれい。水辺の景色が人を和ませるように、静かに水をたたえた様子が心を落ち着かせてくれます。広がりのある『水盤』ならではの愉しみ方です。

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12色のグラス

色鉛筆で線を重ねていくように日本の色彩を繊細に描き出したグラス。
じっと見つめてみると、まるで色鉛筆で風景を描くときのように、さまざまな色の線をいくつも重ねているのがわかります。ちいさな色ガラスの粒を溶かしてつくるこの線は、熟練した職人の手仕事だからこそできるもの。色ガラスが織りなす、やわらかで透明感のある風合いが人気です。
並べるだけでもかわいらしく、色違いで集めたくなります。

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津軽びいどろ 詳細情報

春の桜、夏の祭り、秋の紅葉、冬の雪景色。
日本の豊かな四季彩色をガラスに入れてお届けしたい。
そんな想いから多彩な色合いで表現するハンドメイドガラスブランドです。

独自で調合する色彩豊かな100を超える色ガラスと色ガラス粒(シモ)に8つの技法を駆使し四季を感じるストーリーを表現します。また、職人は青森県の伝統工芸士を筆頭に、若手や女性の職人が活躍し作り手のパーソナル要素も魅力の1つです。
 

北洋硝子株式会社
ガラステーブルウェア、インテリアの企画・製作・販売
青森県伝統工芸品 ”津軽びいどろ”指定工場

青森県青森市富田4-29-13
TEL:017-782-5183
https://tsugaruvidro.jp/

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