日常の生活の中で毎日向き合っている「ごみ」。また外では頻繁に清掃車を見かけます。毎日の生活から出る多量のごみは、どこに行って、どうなっているのか？この素朴な疑問の答えは、今回訪問させて頂いた新江東清掃工場で聞くことができました。
新江東清掃工場は、豊洲駅より有楽町線に乗り、新木場駅より徒歩15分のところにあります。第五福竜丸が展示される夢の島公園の隣です。私たちの住むすぐ近くに清掃工場がありました。
都内で最大級の焼却能力
都内23区で排出される「ごみ」は、都内に21か所（うち２工場は建替え中）ある清掃工場で、安全かつ安定的に効率よく焼却されます。中でもこの新江東清掃工場は、都内屈指の焼却能力を持ち合わせた工場です。６００トン規模の焼却炉が３炉あり、一日の焼却能力は１８００トンと23区最大規模を誇ります。収集車が積んでいるごみを約２トンとすれば、この工場の一日の処理能力は９００台分となります。焼却炉は24時間休むことなく稼働、「ごみ」を燃やし続けてます。
（ただし年間２か月ほど、機械点検・部品交換・掃除のため停止させます。）
「ごみ」の分別
家庭でも分別しているように、「ごみ」は大きく分けて、「可燃ごみ」「不燃ごみ」「粗大ごみ」そして「資源となるリサイクル品」の４つに分別されます。
都内23区内に清掃工場は、21か所（うち２工場は建替え中）、不燃ごみ処理センターは２か所、粗大ごみ破砕処理施設は１か所あります。
都内の「ごみ」の量
「ごみ」は23区の家庭や事業所などから年間約２７５万トンが排出されます。この「ごみ」の量は東京ドームで約７．４杯分にもなります。一日に区民一人あたりが出す「ごみ」の量は、約８００ｇ。東京都の場合、一世帯約２人ですから、毎日、一世帯あたり約１．６ｋｇの「ごみ」を出している計算になります。また清掃工場に運ばれる「ごみ」の内訳は紙類（約44％）、生ごみ等（約22％）、プラスチック類（約18％）木草等（約７％）です。
清掃工場まで運ばれた「ごみ」はどうなる？ー都内から集められた「ごみ」は清掃工場に運ばれ、その後次のような工程を経ます。ー
計測とバンカ投入
運搬された「ごみ」が計量器で計測され、プラットホームと言われる場所からバンカ（「ごみ」の貯留設備）に投入されます。
撹はん
バンカに溜まった「ごみ」は、成分や大きさがまちまちなものを均一化するためにごみクレーンでかき混ぜられます。
焼却
８００度以上の高温で焼却されます。
焼却灰の資源化*とスラグ化
焼却された「ごみ」から焼却灰と飛灰が発生します。焼却灰は、飛灰とともに埋め立て処分をしていましたが、現在はセメント原料化の取組みを進めており、焼却灰の一部はセメント工場へ運ばれます。また１２００度以上の高温で溶融し急速に冷やすと、砂状のスラグになります。容積は灰の約１／２、元の「ごみ」の状態からは１／40になります。スラグにすると灰の中のダイオキシン類が分解され、重金属も封じ込めるので、土木資材などとして安全に有効利用できます。＊（セメント原料）
「不燃ごみ」や「粗大ごみ」
「不燃ごみ」は都内２か所の不燃ごみ処理センターで、「粗大ごみ」は中央防波堤内側埋立地にある粗大ごみ破砕処理施設で破砕し、資源物を選別回収し残りを埋立処分します。
焼却により発生するエネルギーから電気を作る
各工場は、「ごみ」を焼却する施設ですが、実はこの「ごみ」の焼却によって発生する熱エネルギーで電気を作ります。発電した電気は工場内で使用し、余った電気は売却しています。
この新江東清掃工場において、年間総発電量は約１億７０００万ｋＷｈ、売電量は約１億１０００万ｋＷｈ、売電収入は約16億５０００万円にもなります（平成28年度）。また発生した熱を近隣の植物園や水泳場などに供給しています。
中央制御室
終わりに
いつも身近に感じている「ごみ」。やっかいものとしか思っていなかったわけですが、こうして収集から焼却までに多くの方のお世話になり、複雑な工程を経て電気をつくる燃料となったり資源化される話をお聞きし、とても驚きました。
また、行政が推進する３Ｒ活動
「Reduce…ゴミになるものを減らす Reuse…捨てずに使う
Recycle…もう一度資源として生かす」
都民一人一人の意識の必要性を強く実感できました。清掃工場は見学もできます。ぜひ一度訪れてみてください。
プラットホームに集まるごみ収集車
夢の島マリーナ
東京二十三区
清掃一部事務組合
新江東清掃工場
〒136-0081 東京都江東区夢の島3-1-1
TEL 03-5569-5341
＜見学申込み＞
新江東清掃工場 管理課業務係
※10名上の団体及び個人（ただし個人は第２、第4土曜日）
TEL 03-5569-5341
