九月の異名、「長月」。
秋分の日を境に、少しづつ日が短くなって行く事から「夜長月」ともいわれます。夜が長くなり、澄んだ空気の夜空に浮かぶ、一年のうちで最も美しい月を愛でるお月見の頃です。
十五夜のお月様を思い描いて。
上品倶楽部がお勧めする、カジュアルさもあり、どこか平安時代の雅な薫りを感じるしつらえは、十五夜のまん丸なお月様をイメージしたお花と和菓子で構成しました。
丸い形は、心がほっこりとして、穏やかな気分にしてくれる形です。
お月見用のお花は、丸いピンポンマムと、秋に高原などで可憐に咲くヒゴタイをメインにアレンジしました。
フラワーベースには、蕎麦猪口を使いました。藍の染付けの器は、食べ物だけでなく、ちょっとした花あしらいにも重宝します。
九月には重陽の節句があり、菊酒を飲んで無病息災や長寿を願います。
ピンポンマムもヒゴタイも同じキク科の植物なので、花材として取り入れるのは意味があるようにも思えます。 水引や、路地に生えているグリーンをアクセントにさすだけで、ぐっと雰囲気が変わるのも楽しいものです。
こうしたフラワーアレンジメントは決まりがないので、ご自宅にある器や好きなお花や植物を使って、自由にお月見アレンジメントを楽しんではいかがでしょう。
月を思い名付けられた菓子。
この時期のお菓子は「月兎」「待宵」「十三夜」、鈴虫の別名「月鈴子」など、形だけではなく月に纏わる空気や、景色、和歌や俳句に詠まれた一節など、様々な思いを込めた菓銘がつけられます。
今回のお菓子の菓銘「月灯り」は、黄色と白の二色ですが、月が昇り始めは黄色く明るいけれど、時が経ち見上げる月は白く光る皓月となってゆく様を思いながら、名付けられたそうです。
暑かった夏が過ぎ、虫の音を聞きながら冷えたお酒と共に召し上がるお菓子も又、楽しいものです。
古式ゆかしい歳時記のひとつである「お月見」ですが、ご家庭でお月見のしつらえをしている方も多いのではないでしょうか。
しかし、昔と今では住宅事情も変化しており、お月様が見える大きな窓や縁側があるお宅ばかりではありませんよね。
三方にお団子を盛り付けたり、背の高いススキや秋の七草を活けたフラワーベースを置く場所を確保するのはなかなか困難です。
本来のお月見のスタイルとはちょっと違いますが、家にあるものなどを上手に使いながら、ちょっとひと味違うあしらいで新しいお月見のしつらえを楽しんでみてはいかがでしょう。
<使用した花材・器など>
漆のお盆・蕎麦猪口
左: ピンポンマム(黄色)/
スモークグラス/オクラレルカ
右: ピンポンマム(白)/水引(紙製)
奥: リンドウ/ヒゴタイ
お月様に供える月見団子。
関東では丸いお団子、関西では子芋の形で
作られる事もあり、地域によっては
餅を供えるなど様々ですが、
どれも実りの季節の感謝を込めた
お供えの形です。
<今回の和菓子>
「月灯り」 道明寺製
柚子餡/小豆餡
和菓子制作:ゆり屋
自然素材のやさしい味の和菓子を手づくりしています。
ちょっと小ぶりで甘さ控え目ですので、日本茶だけでなく、コーヒーやワインと共にも召し上がって頂けます。
http://www.yuriya-gigli.jp