このエリアに住む方は築地使用や銀座方面へのお出かけの際に、一度はその建築物に驚かれたご経験があるかと思います。不思議な建築物、この建物はなんだろう、入っていいのだろうか、そんな思いを抱かれたのではないでしょうか?
その建物こそが、築地本願寺。今回はその築地本願寺の安永宗務長にお話を伺いました。
築地本願寺は、どんなお寺ですか?
京都の西本願寺を本山とする浄土真宗本願寺派のお寺です。宗祖は鎌倉時代の親鸞聖人。築地本願寺は、親鸞聖人の教えを関東地方、山梨県、静岡県にお住いの皆さんに広める役割を担う拠点となるお寺です。全国には、本願寺派のお寺が約一万ヵ寺ありますが、首都圏には、約470ヵ寺しかありません。人口流入により日本の全人口の約1/3が集まる首都圏に対して約3%のお寺しか存在しないことになります。そういう意味では、築地本願寺の役割は極めて重要とされています。
建築物としての築地本願寺
築地方面に行かれた方はご存じかもしれませんが、築地本願寺の外観は、非常にエキゾチックで何とも言えない不思議さ特殊さ、そして荘厳さを放っています。人によってはこれが日本のお寺かと疑う方もいらっしゃると思います。
築地本願寺の本堂は1934年に再建されました。第22代大谷光瑞門主と親交のあった東京大学教授伊東忠太博士によって設計され、石作りのインド様式を取り入れ(インド祠堂チャイトウヤを模し)つつ、横に一直線、左右対称といったバロック様式、また中国様式、そして日本様式などが融合した建築物となっています。
外観に対し純日本風(真宗様式)の本堂内陣
また伊東博士のこだわりであった現実、非現実(想像上)の動物のオブジェが随所にあります。本堂にはステンドグラスがあり、そしてパイプオルガンが設置されています。外観に留まらず、建物の中も見どころがいっぱいです。2014年には、外周の石塀と本堂建物が国の重要文化財の指定を受けました。
蓮の花がデザインされたステンドグラス
大谷石で作られた外周の石塀(重要文化財)
築地本願寺の活動について
古くは関東大震災(1923年)そして2011年の東日本大震災、昨年の関東東北豪雨、今年の熊本地震など、被災地域、被災者への支援、物資の供給を行いました。東日本大震災の際には避難所として約800名の帰宅困難者が一夜を過ごされました。また関東大震災時の医療や保育など社会福祉事業は、運営組織は変わりましたが、現在も継続されています。また地域の皆様と一緒に盆踊りをはじめとする各行事を行っています。特に毎年8月初旬に築地市場の皆さまにもご協力得て開催する「築地本願寺納涼盆踊り大会」は、関東最大規模といわれ“日本一美しい盆踊り”とたいへん盛況です。その他、週末を中心に、誰でも参加して頂ける「常例布教(仏さまのおはなし)」のほか、各界講師による「仏教文化講座」などの無料セミナーを開催しています。
盆踊りの様子とライトアップされた本堂
少し驚かれるかもしれませんが、仏前での結婚式も行っており、毎年50組近い皆さまの門出を祝福しています。その他、「婚活イベント」や「謎解き脱出ゲーム」などのイベントもたいへんご好評頂いています。また境内には食事処や宿泊施設、貸しホールも併設しています。今年5月には、銀座二丁目に「銀座サロン」を開設しました。「ココロアカデミー」と称した様々な講座の開催や、仏事やお墓、日頃の不安などを僧侶に相談できる「よろず僧談」を行っており、仏教や築地本願寺に全くご縁の無かった方との接点を作っています。
最後に豊洲・有明・東雲の皆さんへ
皆様のお住まいと、ここ築地本願寺は極めて近い距離にあります。築地や銀座にお出かけの際に一度は通られたご経験もあろうかと思います。皆さまには「お寺には入りづらい」というイメージがあることかと思いますが、今までお話をさせて頂いた通り、決してそんなことはありません。建築物としての築地本願寺の見学や各種イベントなど気軽にご参加ください。地域の皆様とともに日々、暮らし成長することが、我々の一番の願いです。どうぞ、よろしくお願いします。
安永雄玄宗務長
築地本願寺に住む動物たち
正面階段の羽をつけた勇ましい獅子
階段の壁面から見下ろす猿
独特の姿のライオン
なんともチャーミングな象
本堂入り口のパイプオルガン
ランチタイムコンサート
仏教讃歌をはじめ、バロック時代の曲や現代曲、他楽器との共演など、様々なプログラム構成をしています。
毎週最終金曜日(※) 12時20分~12時50分
入場無料
どなたでも自由にお聞きになれます。
※変更する場合があります。詳細は連絡先へご確認ください。
アクセス
■都バス:豊洲方面から 業10新橋行き「築地三丁目」下車 徒歩2分
■東京メトロ:有楽町線「新富町」駅下車 徒歩5分/日比谷線「築地」駅下車 徒歩1分
連絡先
〒104-8435 東京都中央区築地3-15-1 地図
http://tsukijihongwanji.jp/
TEL:03-3541-1131