上品人生劇場

刀剣研磨 江東区無形文化財 臼木良彦さん

臼井さん

刀剣の研磨とは、いわゆる刀の研ぎ師。今回紹介する匠は、日本刀の研ぎ師の臼木さん。
仕事場は深川古石場にある。玄関を入り二階に招かれた一室、その空間が仕事場だった。今まで見たことのない空間。何とも言えない緊張感ある空気感。そこににこやかに凛とお座りになられた臼木さんがいらっしゃった。臼木さんは、59歳。この古石場で生まれここでお育ちになり、高校卒業と同時にこの道に入られた、その道41年。
刀を磨く仕事すなわち刀剣師とまた刀鍛冶、刀匠等、その言葉の響きに不思議な緊張感がある。やはり日本刀を扱われているからか。刀剣は道具ではありません、とお話しされ、道具=モノや人を切るものではないと教えられる。芸術性をもったアート作品、もっといえば精神的宗教的意味をもった神器。
そもそもこの「刀を磨く」という仕事は、美術商や刀専門店、個人のコレクターからの依頼とのこと。全国に一般コレクターが存在し、外国人のコレクターも多いと。日本に存在する刀は300万本以上あるらしい。確かに、刀が家のお守りの家宝として、一般家庭にあったことを考えるとこの数は想像がつく。
臼木さんの仕事は、刀を磨くことで、できた当時のものによみがえらせるのだ。古い刀ほど摩耗し研ぎ減っているため、極力減らさないように細心の注意が要求される。また刀は制作者によって一振り一振り違うからこそ、その個性(=芸術性)を十分に引き出すように磨かれる。
この仕事に打ち込まれる信条はなんですか?の質問に、
「まあ、余計な事をするってことですかね。」と笑いながらお話になる。んんん?よくよく聞くと、人が気にかけない部分、人が気がつかない箇所にも自分の納得がいくまでこだわること、それが「余計なことをする」という本意だった。効率の真逆、こだわりへの執着だ。まさに臼木さんの40年の仕事哲学だ。
臼木さん、休みの日は、双水執流(そうすいしりゅう)という武術を教える師範でもある。どこまでも、刀のごとく、まっすぐな生き様。2001年に江東区の無形文化財に指定された深川の宝だ。(刀剣研磨無鑑査)

御刀研処臼木 江東区古石場一丁目二番七号/電話:03-3643-3228

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