和菓子歳時記

弥生 春の行事

薄紅色に街が色付く春先。日々、春めく風を感じながら、お茶を一服…という優雅な時間を過ごすことは、
古(いにしえ)の風流人も嗜んだ、四季を五感で感じられるひと時となるのではないでしょうか。
今回、ほんのりとした自然の中にある色味で彩られた、春の和菓子四点を制作していただきました。

弥生 春の行事

白梅、紅梅が咲き、桃の蕾がほころびだし庭先を眺めるのは春ならではの楽しみ。
桜や木蓮の開花を待つのもその一つ。

かつては、上巳の節句といわれていた桃の節句雛祭り。旧暦の三月三日頃、桃の開花時期と重なることから飾られますが、桃には邪気をはらう力がある為穢れを落とし身を清める桃の節句とも言われます。
上司の節句の草餅は、蓬の葉を入れてついた餅。これも草の香りが、悪いもの払い厄除けとしてこの時期に食べられたといいます。

野原一面に咲く黄色の絨毯、風が少しだけぬるみかけた頃に眺める菜の花畑。
菜種油を採るためという本来の目的はさておき、お茶席でも飾られる菜の花はうららかさを感じます。
野に咲く花ですが、黄色と薄緑の優しい色合いは、お菓子の春を呼んできます。

そして、この季節を表すものといえば桜。桜のお花見といえば春一番の楽しみ。
隅田川ほとりの長命寺が発祥といわれる、小麦粉生地を薄く焼いた関東道明寺生地の関西どちらも塩漬けの桜の葉に包まれた桜餅。花見団子に小豆餡と桜餡で作る羊羹、お干菓子と、桜の咲くほぼ一月の間に様々な種類と銘で作られる桜のお菓子はまさに春の代名詞。

お菓子の由来は、季節を愛でる、自然の移り変わりごとに、様々な願いや祈りがこめられたものです。

この春は、その思いをかみ締めながら色とりどりの、愛らしいお菓子とお茶をもって、季節を楽しみに出かけては如何でしょうか。

<桃の節句> 三月三日 雛祭り
<春分の日> 三月二十一日 昼と夜の長さが等しくなる日
<お花まつり> 四月八日 お釈迦様お誕生日を祝う潅仏会


桜餅
道明寺製
ほんのり桜色に染めた道明寺に塩漬けの桜花を飾った一品


草餅
餅製
小豆餡に、蓬と餅粉で蒸し上げた餅でくるんで黄粉を散らして


菜花
練り切り製
抹茶餡を黄色に染めた練り切り餡で、くるみ氷餅をまぶした一品


桃香
練り切り製
うす紅に染めた練り切りあんで小豆餡を包んで桃の形に


和菓子制作:ゆり屋
自然素材のやさしい味の和菓子を手づくりしています。
ちょっと小ぶりで甘さ控え目ですので、日本茶だけでなく、コーヒーやワインと共にも召し上がって頂けます。
http://www.yuriya-gigli.jp

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