過ごしやすい気候になる秋は、身を包む装いに、より一層気を配りたい季節。
おしゃれの基本は足元からと言われます。カジュアルにも、フォーマルにも使えて、しかも自分の体にピッタリと合った、とびきりお気に入りの靴があるといいですね。
今回上品倶楽部では、職人の手によってオーダーメイドの本革靴を作り続けている工房に、その製造過程の様子を取材させていただきました。
オーダーメイド靴の歴史。
スニーカーにローファーにパンプス。今や日本古来の下駄や草履を普段から履いている人はごく少数派で、大多数の日本人が子供から大人まで、洋風の靴を履くのが当たり前の時代となりました。
日本の靴文化の中で、主に洋式の靴が履かれるようになったのは江戸時代末期から明治時代の初期の頃と言われています。あの幕末の志士、坂本龍馬が革靴を履いていたのも有名な話です。そんな幕末に西洋式の軍服が採用され、明治維新後に上流階級の人たちの間で、洋装が礼服として浸透していく頃から、洋風の靴が日本中に広まっていったそうです。
その頃は庶民の履物はまだ草履で、洋装の革靴を履くのは上流階級の人たちばかりだったため、靴といえばオーダーメイドが主流。注文主の足の木型を作り、職人が手仕事で革靴を完成まで仕上げる、オーダーメイドの靴屋が多く存在していたそうです。
自分の足に合わせた靴。
既製品から自分の好みを選ぶのが当たり前、そしてワンシーズンで履き潰すような安価なファストファッションが流行りの今の時代だからこそ、本当に自分の体に合った靴や服をオーダーメイドで作りたい、そんな風に思っている人も少なくないはず。
確かに、街の靴屋に入って出来合いの靴を買うのとは違い、オーダーメイドは値段もずっと高く、いざ注文するとなると勇気が必要です。しかし、本当に自分の体の形に合ったものを作り、デザインも素材も、上等なものを選び、職人さんの手によって造り出された靴は、人生の中で長い時間共に歩くことができる親友のような一足になるのではないでしょうか。
本当に良いものがわかる、上質な大人の装いのポイントとして、一張羅のオーダーメイド靴を注文してみてはいかがでしょう。
注文する人の足の形、色や履き心地の好みも様々。オーダーメイド靴は、素材やデザインの詳細まで考慮すると、ひとつとして同じものになることはないそうです。
健康を守るために良い靴を選ぶ
足の痛みと靴の関係
外反母趾、開張足、足底痛、扁平足、魚の目など、足に関する病気は様々なものがあります。そのため、足の痛みの悩みを持つ人も少なくありません。
特に、一日中立ち仕事の人や、外を多く歩く営業職の人など、きちんとした格好をして革靴を履かなければならないのに、足を酷使するという仕事をしている人の悩みは深刻な場合が多いでしょう。
そもそも、足の形は人それぞれ違いがあります。縦の大きさはもちろんのこと、横幅も、足の甲の厚さも、足の先端の指のカーブの形まで様々。左右の足の形が大きく異なるという人も珍しくないそうです。
それなのに、足の縦の長さだけの情報で、みんなが同じような既成靴を履いていることがそもそも無理があることなのかもしれません。
「この靴ちょっと痛いけど、せっかく買ったから…」と無理して合わない靴を、長い期間履いていると、徐々に足の骨が変形し、外反母趾をはじめとする様々な病気を引き起こします。
立ち仕事で、足が痛くなってしまうと、足の痛みに気を取られてしまい、集中できないなどという悩みも多いでしょう。
足の痛みに悩んだことがある人は、自分の体にピッタリと合った「痛みがない靴」があるというそれだけのことで、生活がガラリと変わるかもしれません。
「靴に足を合わせる」のではなく、「足に合った靴を選ぶ」。それが、足の痛みや健康にとって、とても重要なポイントになるでしょう。
工房を訪ねる
今回、東京・王子にて、オーダーメイドの靴を作り続け、「菊地武男の靴」や「菊地の靴」というブランド名としても知られる、ダイナス製靴株式会社様の工房にお邪魔させていただきました。
ダイナス製靴株式会社は、40年以上もの間、足の骨の構造や関節、靱帯・神経・筋肉・血管など日本人の足を徹底的に研究し、日本人の足に合った「痛くない靴作り」を行ってきた、まさに靴の専門家です。
目指すのは、「東京発・東京製の世界一〝人にやさしい靴〟」。
創業者の菊地武男さんは、長年靴に関わる仕事をし続けていましたが、娘さんが足の痛みを訴えたのをきっかけに、「痛くない靴」を作るということを徹底して追求し始めました。
日本の急激な洋風化の中で、履物もまた急速な広まりをし、正しい足の計測法も確立されないまま、多くの人が合わない靴を履き続けたことで、足の痛みを抱える人が増加しました。
身近な家族がその問題に直面したことをきっかけに、美術解剖学、人間工学に基づく靴づくりの第一人者と呼ばれるまでになりました。
菊地武男さんの靴に対する情熱を受け継いだ職人たちが、現在も工房で〝人にやさしい靴〟を作り続けています。熟練の職人が培ってきた技術と経験とこだわりは、多くの人に支持され続けています。
本底(地面と接している底)の付く部分の革を付きやすくするために表面を削り、強力な接着材を塗りはるのも職人の手で。
ヒールの接合部が綺麗に見える為に「パウンディングマシーン」という機械で踵のエッジを出します。
靴のデザインやサイズによって、裁断した皮の描くカーブの形も異なります。細かいところにも職人の技が光ります。
靴が一つ出来上がるのにも多くの工程を経ていきます。それぞれ別の作業を担当する職人たちの連携が不可欠です。
オーダーメイド靴を注文する
1.足の診断・計測 デザイン・素材の決定
まず最初に、「シューフィッター」と呼ばれる靴合わせの専門家が、足の状態を「三診(問診・見診・触診)」し、足を病理学的に診断します。その後、両足30箇所に及ぶポイントを精密に計測します。
2.木型の設計 試履き靴作成
靴の履き心地と美しさを決定される重要な工程です。木型の技術者は、多くの経験、精緻な技術を習得する必要があります。日本では希少な熟練の技術者が計測データに基づき、骨格に合わせて木型を削り出します。靴型が出来上がれば、ほぼ50%完了です。
3.靴合わせ(仮縫い)
ベテランのデザイナー・裁断師・製甲師・底付師・仕上師が、一足の靴のために入念に各工程を進めます。約30日間を要して、ようやく一足の靴が出来上がります。出来上がった靴を試し履きし、必要に応じて再度靴合わせをします。
4.修正 完成靴お渡し
お客様に納得していただけるまで修正を繰り返した後、製品靴を製作します。
菊地の靴 ダイナス製靴株式会社
今回ご紹介したダイナス製靴株式会社は、東京都北区王子にあります。
足を痛めず、気持ち良く足にフィットさせるために、美術解剖学と人間工学に基づいたオリジナルの木型の設計をはじめ、職人の精緻な技術とフルオーダーによる靴作りのノウハウを活かした様々な工夫。確かな品質を保証する〝日本〟ブランドのひとつとして、「東京発・東京製の世界一〝足にやさしい靴〟」を目指しています。
好みの履き心地、スタイル、カラーなどに合わせて、最適な靴をフルオーダーメイドで注文することが可能です。工房もある本社のビルにはショップ「菊地の靴工房」も併設しています。
外反母趾、開張足、足底足など、足の痛みでお悩みの方は一度相談に訪れてみてはいかがでしょう。
ダイナス製靴株式会社
【本 社】
〒114-0022 東京都北区王子本町1-5-13
TEL:03-3908-1754/FAX:03-3909-4142
【商事部】
〒114-0022 東京都北区王子本町1-9-4
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