台所時間

中館慶子|2021年3月11日

外出が思うようにできないとなると。
必然的に自炊率が高まるわけで。
料理というものにじっくり向き合うことが増えた。

日頃なかなか手に取らない野菜をチョイスしたり、
なるべく季節の香りを感じられる旬のものを意識したり。
肉や魚の種類はそう増えるわけもないが、
野菜はどんどん改良され
見たことも聞いたこともないニューフェイスが
八百屋さんの軒先に並べられているから面白い。

それらを煮たり、焼いたり、炒めたり。
どんなに世の中が「レンチンで時短」の方向に流れようとも、
コトコト、クツクツ、ポクポクと
食材が手順を追って姿かたちを変え、
おいしい一品に昇華するのを見届ける時間が楽しい。

手間ひまかけて、とか大それたことでもないが、
子どもの頃に過ごした母親との「台所時間」の記憶が
そうさせているのだと思う。
学校での出来事、友だちのこと、洋服のおねだり。
今度連れて行ってもらいたい場所、将来の夢。
忙しい母親との会話はすべて台所で交わされていた。
楽しいときは「台所時間」に凝縮されていたのかもしれない。

今は、仕事のことや、とりとめのないことを考えながら
好きな音楽をかけビールを片手に料理にいそしむ。
その時間が自分にはとても大切。

さあ、今日も野菜をたっぶりいただきます。
早くあの店のスープカレーが食べたいなぁ、なんて思いながら。

writer ライター
中館慶子
北海道生まれ。
仕事でもプライベートでも、どっぷり活字と深い仲。
よく食べ・よく飲み・よく眠り、
合間を縫ってはホットヨガでツリーポーズ。
走ることも大好きで、夢は、いつかはフルマラソン!
わくわくする場所は海と本屋さん。