コールドムーン/冷たい月の夜に

多羅尾 伴内|2019年12月14日

年を重ねてくると、その分知人や縁者、また思いを寄せる著名人も多くなるものだ。
今年は私自身が死の淵を彷徨ったこともあり(自覚のないことが恥ずかしいが)、
死を身近に感じるようになった。
以前から病気を患っていた方の場合は、まだ受け入れやすいのだが、
突然の、劇的な訃報は何度経験しても時間を要す。

11日、中村 哲さんの告別式が地元・福岡で行われた。
私の中では、同じ時代を生きてきた先輩たちの中で、この人以外に尊敬の念をいだく人はいないと、
以前から行動が気になっていた。
亡くなる2日前にも地元紙に定期的な活動手記が掲載されたばかりだった。
成果が緑の森になって、キラキラと輝く水しぶきが未来を語っているようだった。
海に囲まれた一国の島に住む私たちは、砂煙の舞う大陸で隣接する国々と暮らす人々の思いを、
推し量ることは難しいことかもしれない。
ソコニハ88m、41語り継がれる歴史があり、宗教や慣習等で築かれた連帯がある。その土地の利権には大国の思惑が入り乱れている。

そんな世界を前にすれば、立ち止まってしまうのが常であるが、
そこに困っている人がいる、という思いから30年以上活動を続けてきたのが、中村さんだ。
でも、未来も別次元も人材不足なのだろう。
この世界での役割を終え、次のミッションへ向けての旅立ちに違いない。
ご苦労様でした、中村さん。

もうすぐ命日を迎える私の義弟も中村さんと同じように、山や川、草木や昆虫たちが大好きだった。
これから一緒に活動するんだろうな。

中村さん曰く、
人の思いを大切にすること、物事において本当に必要なことを見極めること、
そして必要なことは、一生懸命行うということ。

writer ライター
多羅尾 伴内
酒と旅と歌をこよなく愛し、
それらが焚き火とともにあれば、千夜一夜の話を紡ぎ出す…
そんなステキな話をお伝え出来れば…遥か九州の地より、愛を込めて