「羊をめぐる冒険」村上春樹著を読んだ!

玉下奴郎|2016年5月19日

今作は村上春樹のデビュー作「風の歌を聴け」の続編の続編。
彼はジャズ・バーを経営しながら、閉店後の時間を使って「風の歌を聴け」を書き上げ、
30歳になった1979年に作家としてデビューを果たした。

続く「1973年のピンボール」はまだお店の経営と二足の草鞋だったが、
この「羊をめぐる冒険」の時には既に作家として一本立ちをする覚悟で、
店を閉めて執筆に専念をしていたそうである。
既に学生時代に結婚をしていたので、文筆で生計を立てる為に収入源を断つというのは、
奥様の理解も含めて相当の覚悟が必要だったのではと想像する。

ちなみにファンの間ではこのデビューから続いた長編連作は、
永らく「羊をめぐる…」で完結した三部作と認識されていた。
しかし1988年に更なる続編「ダンス・ダンス・ダンス」を発表。

この流れはのちに「1Q84」がBook1とBook2で完結と思わせて、
1年後にBook3が発表された展開に似ている。
既に「ノルウェーの森」で彼の新作が社会現象になりつつある時期だっただけに、
ブームになる前からのファンは、デビュー作の突然の続編に歓喜した。

そう、「羊をめぐる冒険」は完結していなかったのである。

ここまで全く小説そのものの内容に触れていないが、
ご興味のある方は、ぜひ「風の歌を聴け」からお読みください。
いきなり「羊をめぐる…」から読むのは、
初めて聴くマイルスのアルバムに「TUTU」を選んでしまうのと似ていて、
或いはサラダやスープの前にいきなり150gのステーキを食べるのに似ていて、
もしくは免許を取得して最初に買う車がAMGのベンツという選択に似ていて、
決して間違ってはいないけど出来れば徐々に楽しんで欲しい…。

まぁ、これはアドバイスというよりは余計なお節介ですね。

村上春樹の短編や絵本に、「羊をめぐる…」に登場した羊男が出てくる作品がある。
彼にとって“羊”という存在は何のメタファーなんだろう?

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