ある秋の一日。
栃木県足利市のココ・ファーム・ワイナリーへ。
ここは知的障がい者の支援施設「こころみ学園」のワイン醸造場である。
1950年代、当時の特殊学級の中学生たちと担任教師によって開墾された葡萄畑という。
結構な山の急斜面である。ガイドしてくださった方の話によると、
その当時の担任の教師が私財を投じて得ることができたのは、
平らな土地ではなく、この急斜面の山だったそう。
子どもたちに大切な役割を与えるために除草剤を一切撒かず、
一年を通してやり尽くせないほどの仕事を用意し、地道な農作業を続けたのだとか。
急斜面のため、人間の手でやるしかないこつこつとした作業が
やがて上質なワインを生み出すことに。
ココ・ファーム・ワイナリーのワインは
今までに何度も飲んだことがあるが、
実際に葡萄畑を眺めながらいただくワインは
秋の山の澄んだ空気とあいまって、いっそう美味しい。
山の上まで登ってみようということになり、
葡萄畑に沿って作られた道をひたすら登る。
途中、作業をしている方々が誠実にそして無邪気に
「こんにちは」と声をかけてくださる。
開墾時から約60年。
一人の教師の子どもたちへの思いが実を結び、
それが夢や情熱たっぷり詰まったワインとなり、
私たちを愉しませてくれる。
ココ・ファーム・ワイナリーのワイン、ぜひお試しを!
writer ライター
中館慶子
北海道生まれ。
仕事でもプライベートでも、どっぷり活字と深い仲。
よく食べ・よく飲み・よく眠り、
合間を縫ってはホットヨガでツリーポーズ。
走ることも大好きで、夢は、いつかはフルマラソン!
わくわくする場所は海と本屋さん。
仕事でもプライベートでも、どっぷり活字と深い仲。
よく食べ・よく飲み・よく眠り、
合間を縫ってはホットヨガでツリーポーズ。
走ることも大好きで、夢は、いつかはフルマラソン!
わくわくする場所は海と本屋さん。