八月はザワつく。
子供の時から大好きな季節で、楽しい思い出も夏が背景にある。
素敵に(!)年を重ねてからも、何かをしたくてたまらない。
そんな思いは今も持ち続けているのだが、8年前から胸がざわざわとして、
刹那さとさみしさ、そして空漠で空虚な喪失感も同居している。
真夏の青い空や山々がそれを増幅する。
私は既に両親はなくしているが、人生で一番つらく、悲しかったことが、
友であり義弟で>ある、あいつの突然の他界だった。
もう一人の親しい友人と3人で登った大分県九重でのこと...
高校時代は陸上部で、学内で一番速かったあいつ。
父親が山岳会をつくり、幼き頃から山に親しんだあいつ。
仕事が忙しく、20年ぶりに登ったあいつ。
タフなあいつが、その日はきつくて、辛そうだった...でもそれを楽しんでたなあ。
無人の避難小屋での宴会も、その日自分で選んだ食材を料理してくれて...
気持ちよく酩酊して、いつものように一番に横になり...
一人4時に起きて、暗闇の中を山頂に向かうと、嵐のように風が吹き荒れ、黒雲が次々と
流れていく、かって感じたことのない異様な気配が私を包んでくる。
期待できない朝日を断念して戻る途中、小屋の方から耳を疑う友人の声がした...
うそやろぉ...
この日は、私の人生で一番長い一日になった...
山をこの俺 うらみはせぬが
あんないいやつ どこにもいない
なんで吹雪に あいつは消えた (雪山に消えたあいつより)
(ダークダックスが歌う「いつかある日」を調べたら、九重の映像が出てきました。)https://www.uta-net.com/movie/142513/
いま九重は高原の花が盛りだ、ヒゴタイ、ワレモコウ、キスゲたち。
そして、やがてハギ、リンドウ、マツムシソウたちに移り変わる。
一日たりとも忘れない、あいつの8回目の命日ももうすぐだ。
もうすぐ8回目の命日がきます。合掌
writer ライター
多羅尾 伴内
それらが焚き火とともにあれば、千夜一夜の話を紡ぎ出す…
そんなステキな話をお伝え出来れば…遥か九州の地より、愛を込めて