あの日から30年ですか…

多羅尾 伴内|2026年1月16日

近年恒例の正月2日、隣町の神社へ歩いて参拝に行く。
起床の折は雪景色、いまは晴れてはいるが、冷たい風が頬刺す。
帰路、本屋を覗いて、ふと目につく。
司馬遼太郎没後30年の特集本…1996年2月12日だったか。

当時は思いも欠けない事で、驚きを覚えている。
当時の手帳がどこかにある筈だから何を感じたか、見たい気もする。
若い頃、よく旅をした。学校へも行かず、バイトして金が貯まると、夜汽車に飛び乗って、旅をした。
何のための旅だったんだろうか。

そんな私が司馬さんの『街道をゆく』に出会い、司馬史観の虜になってゆく。
全43巻。旅に、通勤に、どこかの街道をいつも帯同していた。
読み終えると、その足で本屋へ。
また新しい旅の扉を開き、旅に出る…その頃は読むことが楽しみだった。

本棚は司馬さん一色に。
ただ司馬さんは大正から昭和の政治屋や軍部以外の悪口は言わない。
人を評価することに秀でている。書により紹介いただいた方々の作品が徐々に増えていく。
宮本常一さん、金達寿さんもそれらの人々だ。

司馬さんの書く文章は、よく言われる事だが、
行間に書いてあるものをいかに読み取るか、その意図するものをどう感じ取れるか。
男性作家が歴史上の人物像を書く事に到底敵わないと思っていた、
篤姫を著した宮尾登美子は司馬さんの作品群を読み、
それを遥かに超えていた、玄能で頭をガーンと殴られたような衝撃だった。
沢山の作品で多くの事を学び、規範としたのは、私だけではないと書いている。

私も時代小説はいくらか読んだが、池波正太郎、藤沢周平の作風は好きである。
ただ司馬さんの作品は行間を超え、時空を超えて、
坂の上の雲どころではない所を妄想すると言えば、失礼だと思いますが、疲れることも多々あり。
本を買わなくなって久しい。読まない日も多々ある。
でも、終点が来ない列車に乗って、疲れたら車窓に目を向け、また文庫本を開く…そんな旅がしたいな。

7年くらい前に、佐賀市に『こん』と言う呑み屋に行った折、
こんは今さんで、青森に多い姓で、たまたま持っていた街道をゆくの『北のまほろば』を渡してきたことを思い出した。
まだ、やってるのかなぁ、いつか行ってみようかなぁ。

writer ライター

多羅尾 伴内

多羅尾 伴内

酒と旅と歌をこよなく愛し、
それらが焚き火とともにあれば、千夜一夜の話を紡ぎ出す…
そんなステキな話をお伝え出来れば…遥か九州の地より、愛を込めて
writer ライター
多羅尾 伴内
酒と旅と歌をこよなく愛し、
それらが焚き火とともにあれば、千夜一夜の話を紡ぎ出す…
そんなステキな話をお伝え出来れば…遥か九州の地より、愛を込めて
食卓に輝く太陽のようなお皿 Sunshine Drape サンシャインドレープ 東京∞散歩
Life with Records chaabee イベント情報