『47都道府県釣り百科』が、12月25日、クリスマスの日に発売される。
本書は、研究者である海野徹也氏、坪井潤一氏との共著である。
二人とは以前から面識があり、これまで仕事を共にした経験もある。
互いの立場や専門は異なるが、釣りという文化を深く見つめてきた点では共通しており、
その延長線上に本書の企画があった。
海野氏と坪井氏は、魚類学や水産学を研究してきた研究者である。
一方で私は、全国各地の川や海、湖を巡り、釣りの現場を撮影してきた動画制作者という立場にある。
論文や文献から見える釣りと、現場で感じる釣り。
その両者が交わることで、単なるデータ集でも、
個人の体験記でもない、立体的な「釣りの百科」を目指した。
本書では、47都道府県それぞれについて、人気の魚種、代表的な釣り、
地域に根付いた魚食文化などを解説している。
同じ魚種でも、地域が違えば呼び名や釣り方、食べ方が異なる。
その背景には、地形や水温、流通、歴史といった複雑な要素が絡み合っている。
釣りは自然と人の関係性が最も分かりやすく表れる文化の一つであり、
その土地の風土を映す鏡でもあることを、各都道府県の章を通じて伝えている。
制作には一年半を要した。情報の精査、構成の調整、表現の統一など、
地道な作業の積み重ねであったが、その過程は日本の釣りの歴史の深さと、
風土に重なる奥深さを再認識する時間でもあった。
撮影を通じて感覚的に理解していたことが、研究者の言葉によって裏付けられ、
整理されていく体験は、制作者としても非常に刺激的だった。
また本書の刊行にあわせて、
編集者の佐藤日登美氏も交えた出版記念トーク動画を制作し、公開している。
なぜ今、釣りをテーマにした百科を作るのか、どのような意図で編集が行われたのか。
著者と編集者、それぞれの視点から語られる内容は、
本書をより深く理解する手がかりになるはずだ。
動画はこちらから
『47都道府県釣り百科』は、釣り人のための実用書であると同時に、
日本の自然と暮らしを記録した文化資料でもある。
釣りに親しんできた人にも、これから知ろうとする人にも手に取ってもらえればと思う。
発売日は12月25日。
購入はこちらのECサイトから可能である。
writer ライター
岡野伸行
西中国山地の麓で育ち、魚釣りが日常にある幼少期を過ごす。
大学では水産学を学び、魚が日常にある生活を送る。
大学卒業後は釣り番組の制作会社で、釣り人が日常にいる日々を過ごす。
2023年に独立し、H.I.T. FILMSの屋号で活動開始。
商業的ではなく作家性のある釣りの映像作品を制作。
釣りを人生で一周し、現在は冒険的なフライフィッシングを好み、
釣り旅のことばかりを考える毎日を送る。
H.I.T. FILMS
https:/hitifilms.jp






