啓蟄も過ぎ、春めいてきました。皆さんのところでは、いかがですか。
阿蘇地方では、春を呼ぶ風物詩、草原の野焼きが始まり、
週末になると外輪山全体に煙が立ち上ります。
こうして1000年以上続く草原を維持する、人間の営みが持続されてます。
さて、ばあばには、最強最愛の母者がいることを前回お話ししましたが、
ばあばを取り巻く友人たちも普通じゃないんですよ、これが...
ばあばが最年長で、ニカワの代わりに酒粕で結ばれた高度の後期高齢者5人組、
自ら名付けられた「白波5人女」!歌舞伎では、白浪なんですが、イモ焼酎の方なんですよねぇ...
その中に、ばあばと双璧をなす酒豪がいる。まだ70前であるが、
そのしこ名(別に相撲取りではないのであるが、ついそう呼びたくなります)が、男前で(女性なんですけど)艶やか、その名も「二升五合(にしょうごんご)」。なんと荘厳な!
オーラが仏様の光背のように輝き、我々酒量の少ない男どもは平伏し、
肥前の国、島原の海蝕にさらされた洞窟の奥の奥で、
手作りのマリア像を拝する隠れキリシタンのように、憧れ...
いやいや単なる酒飲みの輩なんですね、この5人は。
定期的に、いつもの居酒屋に酒持参(白波5人女は許可されているようです)で集まり、
賑やかに(ご近所に同情します)思い思いのストレスを発散し(えー!ストレスやらあるとぉ?)、
二次会はお決まりのスナックでカラオケ...一度誘われましたが、
「蜘蛛食べるから許して」とご勘弁願いました。
そうそう、もう二年くらい前でしょうか、この5人が鎌倉に行ったんです。
なんと不似合いな、なんと罰当たりな....鎌倉のそこそこ名の知れた旅館だったらしいのですが、
食事前に大浴場でビールとお酒を持ち込み呑んで、結局5人で日本酒だけで6升空けたそうです。
なんと、素晴らしき人生、まぶたを閉じるとその場面が活動写真のように流れ、
弁士の声が劇場内に響きます...江ノ島の、岩本院の稚児上がり、
平素着馴れ振 袖から、髷も島田に由比ヶ浜、打ち込む彼にしっぽりと、
女に化けて美人局、油断もならねぇ小娘も、子袋板に身の破れ、
悪い浮き名も滝の口、土の牢へ二度、三度、段々潜る鳥居数、
八幡様の氏子にて、鎌倉無宿と肩書きも、島に育ってその名さえ、弁天小僧菊之輔!
またまた、長くなりました。お付き合いいただき有難うございました。
次回最終話ということで、この辺でto be continued またね
writer ライター
多羅尾 伴内
それらが焚き火とともにあれば、千夜一夜の話を紡ぎ出す…
そんなステキな話をお伝え出来れば…遥か九州の地より、愛を込めて