私を覚えている街へ

野原こみち|2024年11月6日

家族の病により、実家から少し離れた街“松本”へしばしば出かけるようになりました。
お世話になっている大学附属の大きな病院は、わたしの通っていた高校の近く。
敷地の横を流れる川を毎日通って学校に通ったのは数十年前の話。
時間は流れているのに、思い出は意外と鮮明で、友達と一緒に川辺に座った放課後のことや、文化祭の後のいつもと違う空気など、昨日のことのように思い出されます。
山に囲まれた盆地は夏は暑くて、冬はとてつもなく寒くて、しんどいこともあったけど、暑さ寒さの身に堪える感覚は、今とは全く違ったな・・・。
若さというものに守られたその時が、如何に貴重な時間か、当時は全くわからずに無意な時を過ごしていたけれど、今その頃を懐かしく感じられることが時間差で街から手渡される餞のような気がします。
自分の見えない足跡が残る、記憶を呼び起こすこの街。二度と戻れない時を振り返る、得難いひとときです。

writer ライター

野原こみち

野原こみち

熱しやすく冷めやすく、興味の対象が移ろい易い性格ですが、小さな頃から本だけはずっと手放せません。古本屋は、多くのお店を巡るよりも、贔屓のお店に徹底的に通いつめる派。新刊を扱うお店も同じく。図書館は居心地重視。最近は南米の文学作品、幻想小説を偏愛気味です。
writer ライター
野原こみち
熱しやすく冷めやすく、興味の対象が移ろい易い性格ですが、小さな頃から本だけはずっと手放せません。古本屋は、多くのお店を巡るよりも、贔屓のお店に徹底的に通いつめる派。新刊を扱うお店も同じく。図書館は居心地重視。最近は南米の文学作品、幻想小説を偏愛気味です。
食卓に輝く太陽のようなお皿 Sunshine Drape サンシャインドレープ 東京∞散歩
Life with Records chaabee イベント情報