木曾路はすべて

野原こみち|2023年8月16日

暑い夏の小旅行として、電車に揺られて出かけたのは、長野県木曽の奈良井宿。

島崎藤村の夜明け前にあるように、“木曾路はすべて山の中” 山に挟まれた古い宿場町です。
伝統技術の漆器などのお店を覗きつつ、何より楽しいのは、その情緒ある街並みの景色の中に、自分がただ「いる」ということ。
夏の日差し、森の香りと、川の水音。
街の外れの神社の木陰で一休みして、蝉の大合唱にしばし耳を傾けます。
深呼吸をすれば、清々しい木々の香りが鼻腔をくすぐり、昔々の旅人もこうして旅の疲れを癒していたのかなと、想像したり。

山と山の間を流れる川のように、いつまでもこの道を歩いていきたいような気にもなりましたが、暑気あたりにならぬよう、大人しく冷たいお茶を飲んでから、また電車に揺られて帰ってきました。

ひとときの旅情に心を和ませて、また代わり映えのない日常にもどります。

そんな日常も、また良きかな。

writer ライター

野原こみち

野原こみち

熱しやすく冷めやすく、興味の対象が移ろい易い性格ですが、小さな頃から本だけはずっと手放せません。古本屋は、多くのお店を巡るよりも、贔屓のお店に徹底的に通いつめる派。新刊を扱うお店も同じく。図書館は居心地重視。最近は南米の文学作品、幻想小説を偏愛気味です。
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熱しやすく冷めやすく、興味の対象が移ろい易い性格ですが、小さな頃から本だけはずっと手放せません。古本屋は、多くのお店を巡るよりも、贔屓のお店に徹底的に通いつめる派。新刊を扱うお店も同じく。図書館は居心地重視。最近は南米の文学作品、幻想小説を偏愛気味です。
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