自然(じねん)

野原こみち|2022年8月4日

都会の喧騒を離れて、高原の方へ遠出していた先週の話。

午前中は青空が見える晴天。さすがに標高の高い高原は、肌にじりじりとするような日差し。
しかし東京のビル街と違うのは、吹いてくる風が冷たくて心地良いこと。木陰に入れば、心地よく過ごせる。
山のほうから吹いてくる風は、青々と太陽に向かって葉を伸ばしている木々の爽やかな香りをまとっていて、自然と気持ちも穏やかになる。
少し勾配のきつい山道を歩いてみる。
アカマツの林、ふかふかの地面、響くヒガラの鳴き声。
横たわる木の幹、切り株に並んだキノコ、もぐらの穴。
森の中を歩くと、まるで山の体内を歩いているかのよう。
目に映るもの、それぞれがそこにあるべくしてあり、いるべきしているのだという、妙な納得感をおぼえる。

禅の言葉「自然(じねん)」とは、あるがままそのままで、おのずから然りということ、だそう。
あるがままの自然のいとなみのなかに、自分自身を置くことで、私自身もなにも無理をせず”あるがまま”の状態にリセットされる。
そんな気がした。
放っておくと「ああしたい」「こうしたい」のぞみ通りの自分の姿と現在の自分が重ならず、今ここにある自分を認められない苦しい気持ちになっしまう。複雑な方向にかんがえたがる脳は、ときに妄想をうみ、現実には存在しない頭の中の思考に苦しめられることもある。

あるがままそのままで、おのずから然り
ときどきわれにかえり立ち戻りたい始点のような言葉です。

writer ライター

野原こみち

野原こみち

熱しやすく冷めやすく、興味の対象が移ろい易い性格ですが、小さな頃から本だけはずっと手放せません。古本屋は、多くのお店を巡るよりも、贔屓のお店に徹底的に通いつめる派。新刊を扱うお店も同じく。図書館は居心地重視。最近は南米の文学作品、幻想小説を偏愛気味です。
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野原こみち
熱しやすく冷めやすく、興味の対象が移ろい易い性格ですが、小さな頃から本だけはずっと手放せません。古本屋は、多くのお店を巡るよりも、贔屓のお店に徹底的に通いつめる派。新刊を扱うお店も同じく。図書館は居心地重視。最近は南米の文学作品、幻想小説を偏愛気味です。
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