フランス・ノルマンディーの街

しろくま|2017年10月7日


フランスに語学留学をしたのは20年以上前です。
8か月間パリの北西にあるノルマンディ地方のカンに滞在しました。
地元の人たちとの交流する機会がない留学生のために
市役所がフランスの家族を紹介してくれたのがCADET一家。
日曜日の朝マダムと市場に買い物に行き、お昼を食べ、午後は一緒に散歩しました。
時には家族の友人宅の昼食にも一緒に行きました。
随分ご無沙汰してしまったので思い立って訪ねてみることにしました。

パリ・サンラザール駅からインターシティで約2時間、
カン駅に着くと急に大粒の雨が降り出しました。
慌てて駅舎にかけていくと懐かしい顔が出迎えてくれました。
ベルナールは当時大学の心理学の教授でしたが、今は定年しています。
奥さんのドラはスペイン出身で明るく楽しい人でした。
家についてもドラの姿はなく、去年の12月に倒れて大晦日に亡くなったとの哀しい知らせでした。
妻を亡くして数か月はゾンビのようだったがやっと最近他のことを考えられるようになったと
ベルナールは話してくれました。
ドラの希望で火葬にして遺灰はドラが若いころ過ごしたスペインのバルセロナの海に撒いたそうです。

約24時間のカン訪問でしたがベルナールが海に連れて行ってくれました。
ノルマンディの海岸には第二次大戦時のDデイ上陸作戦の場所がいくつもあり、
メモリアルとして残されています。


アメリカとドイツの兵士たちが眠る墓地もあり土地はフランスから譲渡されています。
ドイツ軍は連合軍の上陸を阻止しようといくつもの大砲を準備していましたが、
上陸した場所とは違う方向を向いているそうです。
73年後の今、海岸を望む丘は緑に覆われ、崩れた壁の中の大砲を見て芭蕉の句を思い浮かべました。
夏草や兵どもが夢の跡

薔薇を一輪買って家に飾りました。

ドラが気に入ると思うよとベルナールが微笑みました。

writer ライター
しろくま
熊代浩子
和歌山県出身
関心のあること:日本の森、映画、書道、フィンランド、フランス、健康