唐津にピトンとハーネスと

多羅尾 伴内|2023年3月10日

久しぶりの唐津…5年振り位かなぁ。
私の住まいは狭い佐賀県の東の端、そして唐津は西の端。

JRで2時間ちょっとの旅…なぜ唐津へ。
それは貴重な映画を観るために、朝7時の列車に飛び乗って来てしまった。


『極限の人』、登山界のアカデミー賞と言われる
ピオレドール生涯功労賞を受賞した山野井泰史のドキュメント映画である。
単独無酸素で常に限界を求めて挑む未踏の垂直の壁、それらを常に探している、孤高のクライマーだ。

沢木耕太郎の『凍』を読んで惹かれた。
現在57歳、手足の指は凍傷で半分は無い。
それでも伊東の自宅に自作で登攀訓練用の足場を作り挑み続けている。
彼の凄さは恐怖心と闘いながら冷静さを味方に出来ること、
そして必ず帰ってくることが出来るクライマーであること。
それらのことは、奥様である妙子さんの存在があってのことかもしれない。
クライマーとしての先輩、10歳年上の奥様も指が半分無く、
その手で上手に餃子を作る場面があった。その眼差しは暖かい…

そんなことを考えながら、唐津の街を歩いていると腹が減り、
『呼子』という食堂に入って、サンマの開き定食を食べた。

すると、店のオヤジが『これ、分かる?』と一皿置いた。
かじると、苦味と風味が春を運んでくれた…蕗の薹の天ぷらだ!
粋な図らいに、顔を合わせて笑った。

writer ライター

多羅尾 伴内

多羅尾 伴内

酒と旅と歌をこよなく愛し、
それらが焚き火とともにあれば、千夜一夜の話を紡ぎ出す…
そんなステキな話をお伝え出来れば…遥か九州の地より、愛を込めて
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多羅尾 伴内
酒と旅と歌をこよなく愛し、
それらが焚き火とともにあれば、千夜一夜の話を紡ぎ出す…
そんなステキな話をお伝え出来れば…遥か九州の地より、愛を込めて
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