人が自由になるための

野原こみち|2023年3月2日

強風が洗濯物を翻しながら、大量の花粉を撒き散らしている、平日の午後。
私の頭は、ずっとひとつのことを考えてます。
今日だけではなく最近ずっと。
ついに、というには遅すぎる。それよりも、静かに静かに歩いてきて気付けばそこにあったような雰囲気を醸し出している、そうAIのこと。
なにを今更・・・と思われる人も多いと思うのですが、ほんとうに私がぼうっとしている間に目覚ましい進歩で。
最近、様々なプラットフォームの中にAIが組み込まれて話題になっていますが、チャットで会話ができるAIを知って以降、衝撃を受けています。
わたしが今まで身近だったスマートフォンに内蔵されているあれとか、スマートスピーカーに内蔵されているあれとかは、返事はしてくれるもののわりとちんぷんかんぷんな返事もしてきたり、そういうところがまだまだ発展途上なのだなと可愛げがあったのですが、最近試したものはちょっとそれよりもだいぶ先を行っている気がしました。
こんなこともできるよ、という家人の肩越しから、「昨日餃子を食べた」ということを太宰治風に書いてください。入力した画面をじっと見つめて10秒後。ほんとうにそれっぽい文章が静かに書かれていくのを見て仰天しました。しかしよく読めば、本質的なところで何かがちがうときちんとひっかかり・・・いや太宰はこんなことは書かない、などと言って笑いましたが、これができるということはほかにもあれやこれやができてしまうのね、ということに気付かされて、しばし無言になってしまいました。
だいぶ前に、いずれAIに仕事を奪われそうな職種 などというテーマで書かれた記事が、インターネット上のそこかしこに散在しましたが、実際にこういうことを体験してみると、笑い話ではなくなる日も近いのかも、と感じています。同時に、いろんなことをAI任せにしていたら、人が本来持っていた能力を失うなどということも起こり得るのかもしれません。
SFの世界に存在していた技術が現実世界に、しかも目の前にあらわれたときに、なにができる?ということを把握するとともに、今後どうやってつきあっていくのかを同時に考えることが必要で、それを怠ってしまうと近く訪れる未来が、自分が望まない未来になってしまうのではないかと、少し怖さも感じます。
きっと、でも、技術というのは本来豊かになる目的で開発されるものであると信じているから、AIの登場で動かなかった人類の課題が解決に向かって動き出す・・・という希望もあるのだと思います。
わたしももうすこし、“知る”ことを真面目にしないといけないな、と考えています。

writer ライター

野原こみち

野原こみち

熱しやすく冷めやすく、興味の対象が移ろい易い性格ですが、小さな頃から本だけはずっと手放せません。古本屋は、多くのお店を巡るよりも、贔屓のお店に徹底的に通いつめる派。新刊を扱うお店も同じく。図書館は居心地重視。最近は南米の文学作品、幻想小説を偏愛気味です。
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熱しやすく冷めやすく、興味の対象が移ろい易い性格ですが、小さな頃から本だけはずっと手放せません。古本屋は、多くのお店を巡るよりも、贔屓のお店に徹底的に通いつめる派。新刊を扱うお店も同じく。図書館は居心地重視。最近は南米の文学作品、幻想小説を偏愛気味です。
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