COLUMN連載コラム

上品人生劇場 小林硝子工芸所 小林淑郎さん

小林硝子工芸所 小林淑郎さん

今回の表紙を飾る「江戸切子グラス」は、今からご紹介する小林さんの作品。
小林さんは、江東区猿江の江戸切子商品を作る、カットガラスの工房「小林硝子工芸所」の三代目ご主人。昭和25年生まれの65歳。にこやかにお話される姿が印象的だ。
このエリア(江東区・墨田区)は、荒川を往来しガラスの材料を運ぶ船の荷物受け取り場があったため、多数のガラス工房が生まれ発展した。ガラス工房の町といったところか。
同様にここで生まれ育った小林さんは、物心ついた頃から、創業者のお祖父さんや工房で働く職人さんに囲まれ、みなさんに遊んでもらいながら仕事の手伝いをされていた。中学2年生の頃には工房でバイト料を貰えるほどの腕前(ご本人曰く、半人前)だったらしい。大学卒業後は、なんの迷いもなく実家のこの工房に入り、腕を磨かれることになる。もともと、小さい頃から手先が器用で、ものづくりが大好きだったようだ。(祖父、父、ご本人と三代続くガラス職人のサラブレットですからね。)
江戸切子は、透明ガラスに色ガラスを重ね線状(切子)にカットし、浮き出る文様や色の美しさ、さらに手触りの感触を楽しむもの。各商品(作品)は、各々の職人さんが創り出すその繊細な文様のカットによって、個性的魅力になる。

小林さんに「ご苦労されることはどんなことですか?」と聞いてみた。
「苦労なんて何もない、好きでやっていますから。」と即答えられる。
続いて、「職人はとことん自分ひとりで考え、自分で試して、自分で覚える、の繰り返し。自分で覚えた ら、その先に自分の個性が備わるもんです。」
好きこそものの上手なれ、ではないが、好きだからこそできる、孤独に自分自身と向き合う厳しい職人の 世界を感じる。首尾一貫した、職人哲学、職人魂だ。
世界に誇れるニッポンの伝統工芸品は、この精神から生まれるのだ。
自分は頑固で扱いづらいとおっしゃるご本人は「いかにも、努力しました!っていうより、(努力の姿を見 せず)控えめであるのに、何かキラッと輝く感じがすきです。」と言われ、それは小林さんの「もの づくり」プロセスと、出来あがった作品の喩(たとえ)に聞こえた。
インタビューの傍には、息子さんがグラス作りに集中される姿が。
伝統工芸が継承され、今の時代に輝く商品が生まれるさまをみた。

有限会社 小林硝子工芸所
東京都江東区猿江2-9-6/電話:03-3631-6457

三代目小林さんと四代目の息子さん 三代目小林さんと四代目の息子さん

工房に並ぶ江戸切子作品 工房に並ぶ江戸切子作品

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